大森山は秋田県と岩手県の県境にある、標高1149mの一座。
焼石岳へ東成瀬口からの夏道を辿ると、
釈迦懺悔の手前、左手に巻いていくピークだ。
山頂には三角点がある。
本日は、ジュネス栗駒スキー場の第三ペアリフト終点を起点に、
県境尾根を目指して進み、大森山トンネルを越えて
山頂へ至るルートを取る。
リフトを下りると、ちょうど看板がある、
大森山の右手、真っ白な頂の後ろに焼石岳が
ちょこっと顔をのぞかせているが、写真ではあまり分からない。
リフト終点で身支度をしていると、リフトの監視の人がやってきて
ちょこっと覗いている焼石岳を、双眼鏡で見せてくれた。
本日は、一人大森山へ入っているそうだ。
先行者は冬期閉鎖中の国道を進み、
大森山トンネル付近から尾根へ上がるルートで
あわよくば焼石岳を目指して、早くに出発したのだそうだ。
「今日はモービルもたくさん入ってるからね」
とのこと。モービル隊も、国道を使っているから
そちらのルートを行けば安心だよ、と薦められたが、
親切な気持ちだけ受け取って、私は予定通りのルートを取ることにした。
10時6分、林の中に入っていく。細いブナばかり。
実は、地形図がこの先数百m分なく、標高800mまでは
あてずっぽう。・・ある程度頭には入れて来てはいるが。
眼下には冬期閉鎖中の国道397号を圧雪車が登っていくのが見えた。
その向こうには目指す大森山と、その奥の三界山も見えて来た。
結構、遠い。
予定では9時30分スタートだったのだが、途中で
地形図を間違えて持って来たことに気づいて引き返し、
30分以上ロスしてしまったのだ。
二つの小さなピークを越えると細い平坦な尾根に出る。
とても分かりやすい地形。
細い尾根を過ぎると、広く緩やかな雪原に出る。
ある程度立派なブナも現れる。
このあたりのブナ帯は熊の生息地とのことで
冬眠中の熊の穴なども、偶然見つけることがあるそうだ。
県境付近はまばらな林。植林跡なのだろうか。
この付近は地形図には林道が伸びている。
県境手前に小さなピークがあって、りっぱな雪庇ができていた。
11時15分頃、県境に到着。
県境から岩手県側を見れば、崩壊ポイントに
大きな雪庇。迫力だ。
そして眼下には冬期閉鎖中の胆沢橋。
ここまで来ると、スノーモービルの、爆音が聞こえてきた。
山を蹂躙しているとしか思えない。
ここから県境の稜線歩きとなる。
前方には目的地の大森山。
時間は11時を回っていて、果たしてあの山頂に立てるかどうか。
タイムアウトを12時にしようか、13時にしようか。
アップダウンのあるルートなので、下山もそれなりに時間がかかるだろう。
時間配分を考えながら、単調な尾根を進む。
崩壊地マークのある小ピーク。雪庇に気をつけてルートを取る。
12時を過ぎた。
大森山はだいぶ近づいてきた。タイムアウトを13時とし、山頂を目指す。
往路がだいたい3時間で、下山で2時間。何かあっても
明るいうちには戻れるだろう。
山頂から西に延びる尾根に上がる。
山頂に向けて、まるで道があるように尾根の真ん中は
樹林がない。
見上げる斜面は結構キツく、さて、スキーアイゼンを付けたものか。
時間が気になってシールだけで途中まで登ると、
カリカリに凍った急傾斜になる。
さすがに、休憩がてらスキーアイゼン装着した。
13時。三角点のある山頂到着!
雪山デビュー間もないころ、冬期閉鎖中の国道から
焼石岳の夏ルートを辿って大森山を目指したことがあった。
頭では分かったつもりの読図も、
実際の場に立ってみると、全然身に付いておらず
大森山がどれなのかも分からず、稜線まで出て撤退し、
その下山でルートロスして怖い思いをした。
いつかまた、目指したいと思っていた大森山なのだ。
山頂からは、ジュネス栗駒からここまでの
辿ってきた尾根が俯瞰できる。
結構な距離だなと感心した。
胆沢橋も。
さて、あまりのんびりもしていられない。
朝の好天はどこへやら、空は曇ってきてときおり小雪が落ちてくる。
山頂からはスキーをかついで、つぼ足で。
凍った斜面だったが、兼用靴でキックステップを効かすことができた。
尾根からの降り口に立てたルート旗に、ホッとする。
えんえん続く県境尾根の終点に立てたルート旗。
スキー場の音楽が、県境尾根まで聞こえてくるが
誰もいない山域に、時間を気にしながらの下山は何だか落ち着かない。
何度か経験した、雪山でのルートロスの嫌な気分がどうしても
頭をよぎってしまうのだ。
本日は気温もさほど上がらなかったせいと、降雪がなかったおかげで
往路のトレースはきれいに残っていた。
それでも、やはりルートロスの不安がある。
ならば、単独で来なければいいものだが。。。
山の珍走族。閉鎖中の国道付近に集結していた。
このゾク達がいない山域をと探すのだが、
そうなると、地形的に危険な場所しか残らない。
規制か、またはあの爆音の無音化を望む。
15時、スキー場に到着。
予定通りの時間。
この林から出るのが名残惜しく、ゆっくり歩く最後の数十メートル。