晩秋もしくは初冬の神室山に
まだ登ったことがなかった。
ぜひ今年こそと、代休を取って金曜日の晴れを
神室山に充てる。
ちょうど代休を持て余していたF井さんと
静かな神室山を登ることにした。
神室山は秋田県と山形県の県境にあり
神室連峰の主峰である。標高1365メートル。
主峰とはいえ、連峰の最高峰は
小又山の1367メートルで2メートル低い。
秋田県からは役内口から2本の登山道があり
ポピュラーなのがパノラマコース。
もう一本が西の又コース。
本日は西の又コースをピストンしてきた。
コースタイムは標準タイムが3時間30分ほどである。
8時30分に役内口を出発。
林道を20分ほど歩いて西の又コースが
始まる。
懸念していた吊り橋は
まだ板があった。
シーズンが終われば、板が外されて
1メートル弱ほどの間隔の
細い骨組みを渡らなくてはならない。
コースの名前通り
西の又川沿いにしばらく歩く。
登山路には落ち葉が敷き詰められ
晩秋のやさしい香りが心地よい。
大きなカツラの木に、迂回路の案内があるが
迂回路は登りになる。
沢水の増水もないので、正規ルートを。
第二渡渉点の吊り橋。
第二渡渉点を過ぎると、
前神室から伸びる尾根の山腹を巻くようにして
登山道はしばし山腹を進む。
沢音が一時的に遠のく。
ここはなだらかな山腹と
伸びやかなブナの森で、お気に入りの場所だ。
老いて猶、かむろの道に汗流る、のプレート。
おなじみだ。
この先、登山道は急斜面を巻いて
付けられている。
夏はどうってことがないが、
落ち葉が積もると、木の根や
石が落ち葉の下に潜んでいるので
滑りやすいしコケやすい。
とても歩きにくくなる。
いくつか枝沢を渡渉する。
渡渉した先の登山道が、
急斜面に際どい幅しかないところへ
落ち葉があって滑落しそうでヒヤヒヤする。
途中にあった山ぶどう。
食べたがタネばかりですっぱかった。
第三渡渉点。9時50分。
向かいには三十三尋の滝。
かつて修験者がいたころはここで
水垢離したそうだ。
さすがにこうも寒いと倣いたい気はない。
第三渡渉点から急登を少しいけば
不動明王の祠。
夏にきたときは、ゴミが散乱していて
片付けた場所だが、今日はゴミもなく
きれいに保たれていた。
いつもこうでありたい。
不動明王から少し登ったところに
水場がある。ここが最終水場だ。
山頂にもあるが、足場の悪いところを
かなり下らなければならないので
ここで十分に補充することをオススメする。
さていよいよ
胸突き八丁坂だ。急な登りではあるが
ガンガン標高が上がるので気分的には
楽である。振り返れば晩秋の森。
今日は午前遅くから午後は晴れ予報だったが
里は日差しがあるようだが
山は雲がなかなか取れない。
胸突き八丁が終わると
いっぷく坂。急登のあとのゆるい坂で
まさに一息いれられる斜度。
いっぷく坂を登り切れば、平坦な場所に出る。
さながらいっぷく平と言ったところか。
得に命名を示すものはなかった。
登山道には雪が目立ち始める。
落ち葉にさらっと雪が積もると、とにかく
滑りやすい。
私もF井さんも足回りに雪の備えはなく、
稜線の雪次第では、撤退もありだなと
軽く打ち合わせ。
この季節に登るのが初めてなのだが
ここまで視界が開けるのかと
新鮮な景色である。
登り切れば、視界がひらけ
となりの稜線が間近に迫る。
ゆるやかになった登山道を行くと
前神室の堂々たる姿。
神室連峰の山は、主峰以外も主役級の
山容で見ごたえがある。
久々の御田。
水たまりは凍っていた。
御田の神。
やや下って、稜線を目指す。
登山道途中にある案内板には
「くまのよこみち坂」
「くまのひるね坂」があるが
このあたりのことだろうか。
初夏にはキヌガサソウの群落で
賑わう急登は雪に埋もれていた。
稜線へと登っていけば窓くぐり。
窓くぐりを抜ければ、やっと
神室山がお目見えだ。
さすがにここまでくると風もあり
気温も下がる。
もう衣類も冬の備えが必要だ。
ありゃ~まだあんな遠くかと
F井さんがボヤきながらも
サクサク登って行く。
稜線に出ると、シュカブラ。
さて、避難小屋も見える。
12時、山頂到着。
もちろんこの季節の平日のこと
誰もいやしない。
静かな山頂を10分ほど楽しむ。
スタートが遅かったので、のんびり
ランチしている余裕はないのだ。
行動食をかっこんで、下山する。
下山前に小又山への稜線を。
こちらは登ってきた道。
下山の頃になってようやく
青空が広がってきた。天気予報より
遅い晴れとなった。
前神室方面。奥の三角が前神室。
山頂手前の唯一の岩場には
鉄梯子と、太いロープが設置されていた。
天気が良くなったので
振り返ってもう一度、神室山をパシャリ。
どうしても目で辿るのは
今年に歩いた大鏑山への稜線。
今年は神室山界隈ばっかり登った。
しつこいようだが、神室山を見納め。
御田からも
晴天の前神室を見納め。
急な登山道の下りは、
雪と落ち葉で滑りやすいし転びやすい。
慎重に。
第二渡渉点手前の森までくれば
景色もおだやかに。
日陰になるので、晴れていても
夕暮れのような気分にさせる。
15時、下山完了。
明日から天気が崩れる前ならではの
快晴が広がっていた。
コメントを書く