阿弥陀池のほとり

秋田駒ケ岳とは男女岳、男岳、女岳などの総称で、そのなかの男女岳は秋田県では最も標高の高い山である。

山域は火山で、女岳は今なお地温が高く真冬でも雪がつきにくい。この火山地形によって変化に富んだ景観と、豊富な高山植物に彩られ、またコースも多く整備されているため四季を通して訪れる人があとを絶たない人気の山だ。

高山植物を目当てに阿弥陀池周辺をハイキングしたり、静かな山行を求めて生保内コースを樹林帯から登ったり、あるいは池塘群の涼やかな景観を求めて千沼ケ原へ縦走したりと、幾通りものコースがあり飽きることのない。

なお、山頂周辺は国立公園の特別保護地区に指定されてある。登山道から外れずにこの貴重な環境を守るよう、十分に注意を払おう。

◇八合目から阿弥陀池を経て男女岳へ

阿弥陀池と男女岳

マイカー規制のためアルパこまくさから登山バスに乗り換えて、八合目へ。
八合目にはトイレや水場を備えた休憩施設があるので、ここで準備を整えたら出発だ。

鉱山跡のある登山道は夏の早い時期はまだ残雪がある。慎重にトラバースして山腹を巻いていけば、田沢湖を見下ろす片倉岳展望台に着く。

やがて男岳が見えてきて平坦な木道を行くと、阿弥陀池の湖面が見えてくる。夏には両脇にチングルマやニッコウキスゲが群落を作り、歓声があちこちから聞こえてくる。

避難小屋で一休みしたら、目の前の男女岳の山頂を目指す。山頂は一等三角点があり、ぐるりと展望が良い。時間と体力に余力があれば横岳、焼山と縦走して八合目へ環状ルートをとることもできる。

◇国見温泉から男岳、阿弥陀池

男岳への登りの途中で阿弥陀池をふりかえる

秋田駒ケ岳の南、国見温泉を起点としたやや歩きごたえのあるコース。外輪山から稜線に上がれば、長尾根を緩やかに登っていく。行く手に徐々に男岳や女岳、横岳が見えてくる。

分岐からは横岳へ向かえば、阿弥陀池到着が早い。時間に余裕があれば、地元では「ムーミン谷」などとも呼ばれる谷へ、馬場の小路コースを巡るのがおすすめ。ザレ場にはタイミングがあえば、コマクサを見ることができる。

いまだ湯気の上がっている女岳の脇を抜け、男岳への急登に取り掛かる。ここまでの緩やかな勾配とは打って変わっての登山らしい傾斜である。男岳へは岩場を抜けて登っていく。

男岳の山頂からは田沢湖や鳥海山が展望できる。

◇千沼ケ原へ縦走

時間に余裕があれば、乳頭山の山頂を踏んでの周回ルートも取れるが、長いコースである。時間に余裕を持って行動する。

マイカー規制に従いバスで8合目に降り立ったら、湯森方面へ向かう。湯森を過ぎると熊見平、宿岩などなだらかな道を経て、展望の良い笊森山に至る。

笊森山からぐんぐんと下っていけば30分足らずでちらほらと池塘が草原の合間合間に現れ、千沼ケ原だ。夏にはニッコウキスゲも咲き、たおやかな景色が心を和ませる。

帰りは往路を引き返すほか、笊森山分岐を乳頭山へ向かい、孫六温泉や大釜温泉に下りる。バスを利用してクルマのあるアルパこまくさまで戻る。