祓川口:竜ケ原湿原より

日本海から起立する優美な独立峰は、特に秋田県南部から眺める姿は端正な三角形で、出羽富士とも呼ばれる。山頂付近には固有種のチョウカイフスマをはじめ、オクキタアザミやイワブクロ、ホソバイワベンケイなど多数の高山植物が見られる。

鉾立コース

登山口は鳥海山麓を秋田から山形へ抜けるブルーラインの最高点にある。ビジターセンターや休憩施設などがあり、駐車場も広く展望にも恵まれているので登山者だけではなくドライブ客などでもにぎわう。コース全体は比較的緩やかだが、距離が長い。

登山口は鳥海山五合目(1,150m)からのスタートとなり、しばらくは石畳のよく整備された登山道を七合目御浜までゆるやかに登る。

御浜には御浜神社と御浜小屋がある。その眼下には鳥の海または鳥海湖と呼ばれる丸い湖があってちょうどいい休憩ポイント。鳥海山の火山らしい荒々しい新山がだいぶ近く見える。西側には日本海が輝く。

ハイキングならこの御浜までがおすすめ。初夏にはニッコウキスゲの群落を見ることができる。

御浜から鳥海湖

ここから先は登山道は石畳から一転、足場の悪い岩場を縫うようにして進む。やがて、登山道は外輪山を進む外輪コースと、千蛇ケ谷を進むコースに別れる。外輪コースは伏拝岳、行者岳などのアップダウンを経て七高山に至り、そこから外輪を降りてから新山へ登り返す。

谷コースは雪渓を横切ってから山頂小屋へじわじわと上り詰め、新山へ登る。外輪コースより幾分かは早く新山に到着できる。

祓川コース

康新道コースから鳥海山山頂をのぞむ

秋田県の矢島からのコースで、登山口には祓川ヒュッテやキャンプ場がある。急登が続くコースであるが、その分、比較的短時間で山頂に至る。

祓川ヒュッテの前を過ぎると、竜ケ原湿原が広がり目の前には鳥海山が大きい。平坦な木道を進むと祓川神社に到着し、ここから急登がはじまる。

賽の河原、御田などは夏でも雪が残り軽アイゼンがあると安全。遅い雪解けが進めば池塘が点在する湿原が広がる。

康ケルンまで来れば七ツ釜避難小屋がある。この先に七つ釜の滝があり、潅木の間から覗き込むことができる。

やがて康新道との分岐となる。新道は鳥海山の北面を覗き込みながらで迫力だが、風の強い日は危険。一部崩壊箇所もあるので状況によっては避ける。

氷の薬師を経て舎利坂を登っていく。舎利坂は細かな砂利に足を取られ、かなり歩きにくい。ゆっくり丁寧に足を置いて登っていく。外輪の直下は視界が悪いとルートがわかりにくいので注意。やがて七高山に至り、新山を対岸に展望できる。

新山までは一旦、外輪山を下っていく。急な岩場を下っていくので焦らずゆっくりと。石など落とさないように気をつける。鞍部には夏でも雪が残り、雪解け水を取ることができる。かなりゴミが浮くので煮沸のほかに、フィルターで濾す。

累々と大きな岩が折り重なる新山へは二つルートがある。往復で違うルートを使うのも良い。東側のルートのほうが早く山頂に至る。

チョウカイフスマ

百宅コース

唐獅子平

鳥海山の東側、秋田の百宅が登山口。キャンプ場などが整備されている4合目の大清水(おおしず)を起点とし、ブナの森を抜けていく。

緩やかな登山道が勾配を増してくると、徐々に低木となり6合目のタッチラ坂。さらに急登を登っていくと、大きな岩が屏風のように立ちふさがる屏風岩のある7合目に差し掛かる。

8合目、唐獅子平に差し掛かればだいぶ景色は高山めいてくる。避難小屋があり、その手前にはクマの形によく似た岩が出迎える。水場があるが夏は枯れるので注意。

目指す外輪が迫り、ポツンと虫穴岩が見えるがなかなか近づかない。じっくりと登っていく。外輪山直下はガレ場となり、ルートがわかりにくい。ガスの日などは迷いやすい。