ウメバチソウの概要
ニシキギ科ウメバチソウ属の多年草。
漢字表記は梅鉢草。
以前はユキノシタ科とされていたが
数年前に変更になったらしい。
山地の草原や日当たりのいい登山道脇などで
よく見かける。
花は8月から10月と長い期間見られるが、
この花が咲くとわたしは
秋の訪れを感じてなんだか焦る。
名前の由来は梅の花に似ているからじゃない?
ウメバチソウはユニークな花で
その面白さのひとつが名前の由来だ。
漢字表記では梅鉢草と書くので
なるほど梅の花に似ているからだなと
納得しがちである。
しかし、だ。梅に似ている件は分かるが
では「バチ」ってなに?
このバチは舞楽で使われる太鼓のバチのこと。
ウメバチソウは
梅の花に似ているからではなく
梅鉢紋という家紋に似ていることに由来する。
梅鉢紋は梅の雄しべが
舞楽で使われる太鼓のバチに似ていることから
梅の花びらとバチを組み合わせて
作られた紋様だ。
梅鉢紋の種類はとても多いが
だいたいこんな紋様となっている。
そのように聞けば なるほど
梅鉢紋と似ているようにも思える。
え?これ雄しべじゃないの?雄しべと仮雄しべと雌しべ。
ウメバチソウの面白みはまだある。
花には通常、雄しべと雌しべがあるのだが
ウメバチソウにはさらに仮雄しべという装飾がある。
仮雄しべ
おなじみウメバチソウの花。
この花を魅力的にさせているのは
おそらく仮雄しべの存在だろう。
雄しべと雄しべの間にある、
先端に丸粒がついた細い線の集合体。
これが仮雄しべだ。
ぱっと見、雄しべかと思うところだが、
こちらは花粉は出さない。
仮雄しべの役割ははっきりしていないようだが
虫を誘う役割を果たしているのではないかと
言われている。
雄しべ
ウメバチソウの雄しべはこちら。
花びらが開いて、仮雄しべが開き、
その次に、雌しべを抱くようにしていた雄しべが
一本ずつ起き上がってウメバチソウの
営業スタートとなる。
雄しべはいっぺんには開かない。
一本ずつ徐々に起き上がっていく。
数日かけて合計5本が起き上がる。
起き上がった雄しべは花粉を出し、
そして雌しべから大きく離れるように
反り返る。
雌しべ
雌しべは雄しべの成熟が終わってから
ようやく活動開始となる。
成熟する時期をずらすことで、自家受粉を避けるのだ。
雌しべはその先端が4つに割れれば受粉の準備完了だ。
ウメバチソウは見るほどに興味深い花である。
コロコロとした蕾もまた可愛らしい。
ぜひ登山道脇でじっくりと
梅鉢紋と、仮雄しべ、雄しべ、雌しべを
楽しんで。
植物の名前の由来はこちらのシリーズ
見分け方のコツもイラストで書かれていて
楽しめる本です。
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