登山ガイドの認定機関として、日本で最も大きい団体が「公益社団法人 日本山岳ガイド協会」だ。

1971年に社団法人日本アルパイン・ガイド協会として設立されその歴史も古い。当初は厚生省所管だったが、のち当時会長を務めた故橋本龍太郎元首相の指導のもと、環境庁が管轄することとなる。やがて2012年には、内閣府を主務官庁とする公益社団法人日本山岳ガイド協会に移行。

ここで認定されるガイドには
・山岳ガイド
・登山ガイド
・自然ガイド
・国際山岳ガイド
と大きく職能が区分されている。ここでは、わたしも検定を受けた「登山ガイド」の認定を得るまでを中心にご紹介したいと思う。

1、どの職能が自分にふさわしいか、について

登山ガイドの検定を受けようかと考えたとき、職能を選ぶことになる。

  • 自然ガイド
  • 登山ガイド
  • 山岳ガイド
  • 国際山岳ガイド

大きくこの4つおよび、フリークライミングインストラクターがあるのだが、さらにそれぞれの職能にはステージが定められてあり細分化されている。詳細は社団法人日本山岳ガイド協会のウエブサイトを参照いただければと思う。
著作権の都合もあるので、こちらで具体的に紹介することは避けておく。

2、受験方法について

実は、認定取得方法は大きく二つある。ひとつは、検定を受けて認定を受けるというスタンダードなスタイル。もうひとつは、いずれ廃止になるかもしれないが、地域認定と呼ばれる、ある程度の受験者を集めて一通りの講習会を開き、検定なしで受講すれば認定を取得できるスタイル。

わたしは検定を受けての認定取得としたが、この方法のなかでも検定項目によっては、養成講座を受講することで、検定が免除となる項目もある。

◇養成講座による検定免除はおすすめ!

養成講座のいい点は、一発検定のような緊張感が少ないこともそうだが、何よりのメリットは、遠い検定会場まで有給と交通費をかけずに済むことだ。養成講座は、各地の正会員によって地方で開催される。
免除となる検定項目は、積雪期と無積雪期のルートガイディングの検定。ただし、養成講座中は、講師によって各項目を採点される。一発検定ほどのプレッシャーはないにせよ、テストされることには変わりはない。
また、安全管理技術の基礎など技術的な項目についても学べるのが、養成講座の利点。
ロープワークなどは、常に進化している。また、日本山岳ガイド協会で基準というか、推奨されるやり方もある。ガイド協会の正会員から最新の方法を覚える方が、検定の際に自信をもって受験できると思う。
ロープワークの検定を受けるときなど、知り合いの年配の沢屋なりクライマーに教わった人もいたのだが、基礎ができていないのに上級者ならではの応用を教えられてくる受験者もいて危なっかしかった。
というわけで、わたしとしては養成講座を受講することをおすすめする。

3、試験申し込みと書類審査

申請書類は郵送のみで受け付けられている。筆記試験2週間前までに簡易書留で送る。2週間前とはいえ、健康診断書などは即日でもらえないので、余裕を持って早めに送る。また、一次試験の出題についてや、試験会場なども早めに知ったほうが精神衛生上よろしいかと思うので、なるべく早めに送ってしまおう。なお職能ごとに提出書類が異なるが、ここでは登山ガイドステージⅡについて、説明する。

  • 受験申請書:指定の書式をダウンロードして作成
  • 顔写真:2枚 縦3.5 横3センチ(この写真がいずれガイド認定証にも使われるので気合いを入れて撮影しましょう)
  • 住民票
  • 登山歴:指定書式をダウンロードして作成。
  • 健康診断書:指定書式をダウンロードして医師へ渡し作成してもらう。なお、検査設備のある大きな病院でないとできない検査もあるので、事前に病院へ問い合わせる。費用はだいたい10,000円〜15,000円くらいかかる。筆記試験日より一年以内に受診したものに限る。
  • 受験料20,000円の振込証明書のコピー。

以上を簡易書留で送ると、受験票試験要項が届く。受験票はハガキサイズの厚紙。これはガイド認定終了までずっと必要となるので、くれぐれも無くさないように。

4、一次試験(筆記試験)

検定だの養成講座だのについて考えるより先に、まずは一次試験突破が問題だ。
開催場所は東京と大阪6月と11月に実施される。
試験内容については、協会が発行するテキストを中心に勉強することになる。各テキストすべて3000円なり。

この一次試験についても、協会のほうで事前に講座があるようなので、受講すれば安心かもしれない。出題範囲で重要な箇所や、小論文のコツ、試験の意図なども聞くことができるようだ。

それでも遠いし、休みも取らなければならないので、わたしはテキストをひたすら読んで学習。内容は広範囲。山で触れるほぼすべての自然現象や、法律、怪我などについて勉強することになる。

テキストだけ頭に入れればいいというものでもなく、実際の試験ではテキストにない内容も出題される。ただ、日頃から好奇心旺盛に山歩きを、この受験資格が求める日数の登山をしていれば、おのずと身についているだろう内容である。

つまりこのテキストの内容が、ある程度は身についていることが求められ、そのためにはテキストを丸暗記ではなく、ちゃんと理解する必要がある。なので、わたしは天気や地学、植物の本など、いずれガイド業をすれば調べるために使うだろうと、たくさん購入した。

試験は朝から夕方までびっちりある。まわりが、カリカリとペンを走らせていると、なんだか焦るのだった。

筆記試験会場には、二次試験で免除となる養成講座の案内などが置かれている。ぜひ、忘れずに持って帰ろう。

一次試験を実際に受けてみての記録はこちら
その1
その2
その3

5、二次試験:実技検定

一次試験結果はだいたい一ヶ月で郵送で知らされる。合格したならば、順次検定を受ける。

二次試験内容は最新の内容を山岳ガイド協会のウエブサイトで確認する。その内容は登山ガイドステージⅡでは以下の通り。いずれも合格から3年間は有効なので、じぶんのペースで受験できる。・・・が、だいたいが一気に受けるみたい。

  • 無積雪期ルートガイディング・自然解説技術 2日間(養成講座による免除あり)
  • 安全管理技術 基礎 検定 2日間
  • 積雪期ルートガイディング・自然解説技術 2日間(養成講座による免除あり)
  • 雪の安全管理技術 検定 2日間
  • 危急時対応技術講習会(講習のみ)2日間

6、全検定クリアし合格したならば

登山ガイドステージⅡ資格者として認定しました、という合格通知が届いたら、いよいよガイドとしての手続きを行う。

1、正会員団体に所属する。

試験合格の際に送られる認定通知書は、職能別資格認定であって、ガイド資格認定証ではない。ガイド業務を行うためには、資格認定証が必要だ。そのためにはまず、日本山岳ガイド協会の正会員団体として登録されている団体に所属しなければならない
正会員団体のリストは同封されてある。あるいはガイド協会のウエブサイトで見ることができる。

とはいえ、ツテでもない限りどこがいいやらよく分からないものだ。なので、養成講座や検定中などの講師や検定員はガイド協会所属のガイドなので、情報を聞いておくこと。ちなみに私は養成講座を、無雪期と積雪期に受講したのだが、このときの講師の方が所属する団体に入会した。

所属する団体を選ぶにあたっては、カバーする山域とじぶんが業務を行いたい山域が合致することはもちろんだが、定期的に技術講習会が開かれていること、などだろうか。
ちなみに、所属団体が仕事を斡旋してくれるわけではない

互いに情報交換や紹介などはあるかと思うが、仕事を得るのはまた別。わかりやすく言えば、組合みたいな感じだろうか。

なお、入会規定は各団体により異なるが、一名から二名の会員による推薦を必要とする会も多いので、こうした講師や検定員に相談しておくとスムーズだ。

2、正会員団体入会後、公益社団法人日本山岳ガイド協会入会手続き

正会員団体の事務局で入会手続きをしてくれる。
ガイド協会の入会金は初年度で20,000円と年会費10,000円。これを振り込む。同時に、正会員団体への入会金と年会費も必要となるので忘れずに。

3、認定証とバッジが届く

入会手続きが完了すれば、待ちに待っていた認定証、会員バッジの大と小が届く。ちなみにワッペンは別注で600円。
また、公益社団法人日本山岳ガイド協会の、会員向けのサイトにも入っていける。そこでいろいろな情報を得ることができるので、ぜひチェックを。