プロフィール
ヒメアオキ |
姫青木 |
アオキ科(新分類ではガリア科) |
分布
北海道南部から日本海側の雪の多い地域に分布。
ブナや雑木林などの林床でよく見かける。
花の時期は雪解けから5月まで。
レッドデータ
絶滅 | ー |
絶滅危惧Ⅰ類 | ー |
絶滅危惧Ⅱ類 | ー |
準絶滅危惧 | ー |
特徴
特徴その①雌雄異株
雌雄異株とは雄株と雌株があるということで、雄株には雄しべのある雄花が咲き、雌株には雌しべのある雌花が咲く。
一種類で2種類の花が見られるので、ちょっとお得感がある気がしてワクワクするのは私だけ?
ぜひ雄花と雌花の両方をコンプリートしてみて。
同じエリアなら、雄花のほうが先に咲き、そのあとやや遅れて雌花が咲くように思える。
花は小さく、7〜8mm程度。
小さいながらも、花びらは重厚感ありベルベットのような趣きだ。
特徴その②雪国仕様に進化
晩秋や春先に山や森に入ると、林床につややかな光沢のある葉っぱと赤い実でその存在に気づくことが多い。
ヒメアオキは常緑樹で、冬の間も葉を落とさず越冬する。
寒い地域では、こうした常緑樹は葉を凍結から守り生き抜くため、雪に埋もれてひと冬を過ごす。
外気はマイナス10度でも、雪中ならば温度は0度前後で安定するのだ。
雪国の常緑樹の名前に、しばしば「ヒメ」がつくのは、本来の母種に比べると小型に進化するため。
小さくなることで、積もった雪のなかにすっぽりと身をひそめ寒さに晒されないようにしている。
ヒメアオキはもともとはアオキから進化したもの。
ほかには、ユズリハから進化したエゾユズリハ。
シキミからはツルシキミ。
イヌガヤは地面を這うように低く育つのでハイイヌガヤに。
雪を利用し共生する植物の知恵とも言える姿なのだ。
雄株について
つぼみ
雪解けまもなく、枝の先にみっちりと蕾ができる。
雄花
花びらが4枚、雄しべが4個付く。
小さくて暗めの色彩の花で目立たない。
雌株について
雌花
雄花に比べると、ひと回り小さく、花のつきかたもこじんまり感がある。
花びらの先端が、雄花は尖っているが雌花は丸い印象。
雌しべが一つ中央に鎮座する。
雌花と昨年の実
春先、雌花が開花するころはまだ赤い実がついている。
雄株か雌株か、実があるかないかで見分けるのも手っ取り早い。
雌株が見つかれば、少し離れたところに雄株がある。
きっとこの雌株の実のお父さん。
実
実は一年目は緑だが、翌年に赤く熟す。
上の画像の実はこの年の早春のもの。
秋ごろには赤く色づいているだろう。
佇まいが似た植物
ヒメモチ
モチノキの雪国バージョンがこのヒメモチ。
花は白いので、姫青木とは区別しやすい。
実や光沢ある葉だけ見ると、ヒメアオキか?と間違えやすいかも。
葉の縁にギザがないのと、形が狭長楕円形。
そして実は円形で、ヒメアオキの実のように楕円にならない。
ちなみにこちらも雌雄異株。
ツルシキミ
ミヤマシキミの雪国バージョン。
地面を這うように成長するのでツルシキミ。
ちなみにシキミの語源は有毒であることから「悪しき実」の「あ」がとれて「シキミ」。
花は白でヒメアオキと間違えることはないが、見慣れていないと常緑に赤い実の姿にヒメアオキか?あるいはヒメモチか?と悩むかも。
ヒメモチと異なり、輪生する葉や、実の付く位置が枝先であることで区別できる。
こちらも雌雄異株だ。
ぜひ雄花と雌花のふたつ、コンプリートに励んでほしい。
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