プロフィール
サンカヨウ |
山荷葉 |
メギ科 |
分布
本州中部以北から北海道の、山地から亜高山の林内のやや湿った場所で見ることができる。
花の時期は、5月下旬ごろから6月。
レッドデータ
絶滅 | ー |
絶滅危惧Ⅰ類 | 山梨・奈良・島根 |
絶滅危惧Ⅱ類 | 兵庫・岡山・広島 |
準絶滅危惧 | 鳥取 |
名前の由来
荷葉(かよう)とはハスのことで、この葉に似た葉を持つことから、山にある荷葉で山荷葉。
ちなみにサンカヨウの花言葉は「清楚な人」。
ついでに荷葉の花言葉も見てみれば「清らかな人」がある。ハスの方の荷葉には花言葉が多く、ほかにも「休養」「神聖」「沈着」などある。
また別名スケルトンフラワーとも呼ばれる。
これは雨にうたれた花びらが、半透明になることに由来する。
チャームポイント1:透ける花びら
なんと言ってもサンカヨウの一番のチャームポイントは、雨に打たれて半透明になる花びら。
サンカヨウの花びらは雨の日に、このとおり美しいガラス細工のようになることで知られる。
この不思議な姿目当てに雨の山へでかけるファンも多い。
透明に見えるのはなぜ?
透ける理由は、もともと空気の泡で満たされていた花びらの細胞に、雨による水分がたっぷりと入り込むことで、本来なら空気の泡で反射されていた光が、細胞内の水を通過するようになるため。
色というものは、光が当たったとき、吸収される光と反射する光があり、その反射される方の光で色が決まる。
白い花に見えるのは、白になる光が吸収されず反射されるからだし、青い花に見えるのは、青になる光が吸収されないから。
透明になるのは、この光が反射されずに通過してしまうことによる。
ちなみに光がすべて吸収されると黒に見える。
白色が透明になる簡単な実験
ラップをグシャグシャっとまるめると、白くみえる。
これはラップのなかに空気が入っていて、その空気が白の色の要素を吸収せずに跳ね返すため白く見える。
このラップを容器にいれて水をラップが浸るくらいまで注ぐ。
そして水の中でこのラップをギュギュッと押して、空気をブクブクっと抜いてしまう。
するとどうだろう。ラップは透明に!
白色を反射する原因の空気を抜くことで、光が透過するようになってこのように透明になる。
これが、サンカヨウのスケルトンの仕組みだ。
白い花の白はこのような光の仕組みで、白く見えるのだ。
ぜひ、登山でおにぎりを食べ終えたなら、それを包んでいたラップを有効活用してサンカヨウの透明のヒミツを実感してみよう!
雨の日は必ず透明になるの?
ガラス細工のようなサンカヨウがみたくて、霧吹きで水を吹きかけたとしても残念ながら透明にはならないとのこと。
サンカヨウの花びらが透明になるためには条件がある。
・長時間の雨やガスが続くこと
・気温が低く、湿度の高い日であること
梅雨の長雨が続く時などは、まさにスケルトンフラワーが見られるタイミングと言える。
チャームポイント2:雄しべのガッツポーズ
中央に、雌しべがひとつと、それを取り囲むようにして雄しべが6個。
雄しべが花粉を出す器官を葯(やく)という。
上の画像ではまだ葯(やく)は開いておらず、雌しべが受粉体制に入っている。
サンカヨウのもうひとつのチャームポイントは、この雄しべ。
ほとんどの花ではこの花粉が入っている葯(やく)が裂けて花粉が出る。
しかしサンカヨウの場合は、葯の側面が2箇所裂けてまるでガッツポーズでもとっているかのような姿になって雄しべが業務を開始する。
ガッツ!
がんばれよ。
実:食べられる
・・・なんだ。食べられるんじゃん。
早く調べればよかった。
夏も盛りを過ぎた頃、サンカヨウはとても立派な青い実をつける。
その実はブルーベリーのような、そしてなかなか美味そうなのだが、食べられるかどうかわからず私はいつも通りすぎていた。
きっとあんな見た目がおいしそうなヤツに限って毒なのだろう、と。
きっとシアンかなんとかという類の有毒だろう、と。
いや、何回かは好奇心に負けおそるおそる口にしたこともある。
だが、そうやって命懸けで口にしたわりにはさほど美味しくもなく、タネだらけなので「ほらな」とか言いながら吹き出していた。
ところが調べると、よく熟すと甘酸っぱくおいしくなるとのこと。
・・・本当に?
ぜひお試しください。
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