【ガイドツアーレポ】2025年7月9日和賀岳へ甘露水コース

【ガイドツアーレポ】2025年7月9日和賀岳へ甘露水コース

今シーズン初の和賀岳ご案内。

関東のお客様からのプライベートガイドのお申し込みではあるが、お一人でガイドを雇うのはなかなか結構な金額となる。

そこで、ほかのお客様を募らせていただければ割り勘ができるので、ご提案したところOKとのこと。

とはいえ、行程の長いコース。

人数を増やすほど、時間がかかるので少数先鋭部隊に。

今回はゲスト3人とガイドの四人パーティで和賀岳を目指す。

コースのログはこちら↓

 

甘露水登山口スタート

6時15分、甘露水スタート。

ガイド含め皆さん、長袖長ズボンのこの画像からは分かりにくいが、本日は朝から湿度高く蒸し暑い。

荷物は重くなるが飲料多めと、経口補水液を各自背負ってのスタートだ。

このコース、滝倉で水の補給ができるので、少しでも負担を減らす大作戦としましては、

滝倉以降の行程の飲料を、この沢から得るということもできる。

 

のだが、沢水なので浄水器は必要なのと登山スタートから1時間少しで滝倉なので、さほどの負担軽減にもなりそうにない。

結局、滝倉は涼をとるためと下山間際のコーラを冷やしておく程度にしか活用できない。

 

湿度高く、朝から蒸し暑い杉林を過ぎ、ミズナラの巨木の森を抜けて6時40分ごろブナ台へ。

じっとしていても汗が吹き出る。

なので本日は休憩毎とは言わず、こまめに立ち休みを挟んでは水分補給と、塩分補給で熱中症に最大限の対策を取る。

 

このコースの定点観察ポイント。

ブナと書かれたプレートを飲み込みつつあるブナ。

20年前は文字が見えていた。

 

滝倉でクールダウン

7時20分、滝倉。

湧き出たばかりの沢水は、白く冷気がたちのぼり周囲はひんやりとして気持ちがいい。

ここまでの汗も引き、暑さが嘘のような心地よさ。

 

ずっと滝倉にいたいところを堪えて、再び蒸し風呂コースへ。

深い森の濃い緑は、夏の日差しを遮って景色だけは涼やかだが、暑い。

経口補水液すら、味が薄く感じるほどに汗をかいた。

ほんと、こんな日は、経口補水液という商品が一般販売されていることに感謝しかない。

 

倉方で尾根に上がれば、やはりここは幾分風が涼しい。

倉方で一息いれてからしばらく行けば、ブナの樹高が低くなって、展望のよい道に出る。

急斜面についた登山道は、幅も狭く足場の悪い箇所もある。

草が被っている箇所もあるので慎重に進み、急登を登りきれば斜度が緩んで薬師岳の肩に乗る。

 

手前の小ピークを巻いてゆるやかな道。

上の画像の大きな葉っぱは、オオバツツジ。

 

ここでようやく、親分登場。

中央の、鷲が両翼を広げたような山が、和賀岳だ。

 

そしてすぐ目の前の、やさしい丸い山頂が薬師岳。

薬師岳とニッコウキスゲ

9時30分、薬師岳。

あいにく和賀岳はガスの中に。

まあ、遠いだけの景色だし、見えないほうがいいかも。

 

薬師岳から、この先の尾根を見れば黄色くニッコウキスゲロード。

 

この尾根のニッコウキスゲは終盤で、入れ違いにイブキトラノオが林立。

花穂に触れてみると、名前のゴツさからは想定外の、ふわっと柔らかな触り心地にびっくりする。

 

ここのニッコウキスゲが終盤ということは、山頂はちょうどいいかもと、ガイドの心はすでに和賀岳に向いてしまったのだが、初めて訪れる薬師岳のニッコウキスゲに、お客さんたちは盛り上がっていた。

できればお客さんとは、心を合わせて山を楽しみたいと常々思っているので、いかんいかんと心を薬師岳に戻すガイド。

ニッコウキスゲの尾根からいったん下って、薬師平へ。

特段、何もない場所だ。

ここから再び尾根に乗って、小さなアップダウンをこなして進む。

 

去年、刈り払いをしたとのことで、すっかり登山道は広く歩きやすくなっていた。

二百名山だというのに出迎える藪道を見た、県外からの登山者たちが閉口することも、これでしばらくはないだろう。

藪道はそれはそれで、いかにも秋田県の登山道らしいワイルドさがあって面白かったのだが。

上の画像は、左端が小杉山、右側ピークが小鷲倉。

小杉山から和賀岳へ

広く刈り払われた快適な登山道を登って、小杉山。

さすがにここから分岐する白岩岳方面への登山道は、ますます灌木に閉ざされてもはや道があったことを気づく人も少ないだろう。

 

和賀岳への伸びやかな稜線歩きがはじまる。

相変わらず、異常に暑い日で蒸すが気分は爽快だ。

 

小鷲倉の登りを過ぎれば、山頂はもうすぐ。

案の定、和賀岳の山頂はニッコウキスゲの黄色に彩られている。

 

山頂直下の草原。

標高1400mそこそこなのに、ここだけ高山のようだ。

 

ニッコウキスゲ、完璧。

歓声があがり、脚の運びもとたんに遅くなるが、山頂はもうすぐだし存分に花を楽しむ。

 

ここまでの稜線と、ニッコウキスゲと、和賀岳山頂などよりニッコウキスゲに夢中な我々。

和賀岳!

11時50分、和賀岳山頂!

全員、元気に登頂おめでとう!

 

昼休憩ではあるが、景色と花がすばらしく、ご飯どころではない。

 

岩手側には、かまぼこのようなコケ平の尾根。

 

遠く、田沢湖の湖面も湿度に霞みながらも見える。

 

予定より20分ほど早い到着だった分、たっぷり景色を堪能して下山に。

手前に小鷲倉、奥に薬師岳。

下山

下山は早いなーと言いながら何度も振り返る。

小鷲倉手前から、和賀岳。

山頂を彩る黄色もよく見える。

 

そして行手の薬師岳への稜線。

 

薬師岳が近づいてきた。

和賀岳のニッコウキスゲを見た後なので、さすがに皆さんこのくらいのニッコウキスゲでは動じない。

朝はここであんなにテンションあがったのにね、などと振り返りながら冷静なのだった。

 

いやむしろニョロニョロ大集会のようなこの、イブキトラノオの大群落が圧巻である。

ニッコウキスゲの終了とともに、足が向かなくなっていたがための見逃していた景色である。

 

真昼山地の山並み。

遠く真昼岳と女神山を眺めながら、稜線の景色ともお別れ。

 

登りではさほど感じなかった急斜面が、疲労の出始めた足にくる。

そして、暑い。

 

15時55分、待ってましたの滝倉の冷水。

みんなでしょっぱい顔をざぶざぶ洗うも、冷た過ぎて手が止まる。

 

16時50分、なつかしの甘露水登山口へゴール!

これほど蒸し暑い和賀岳ははじめてだったが、みなさん無事に元気で下山できて何より。

展望よし、花よしで、最高の1日でした。

そして熱中症対策に、皆様ご理解とご協力ありがとうございます。

 

2025年の夏山は、どの山もえらく暑い登山だったが、わたしとしてはこの和賀岳が一番蒸し暑かった。

夏山のスタートで、この洗礼を受けたためか、暑かったには暑かったが、以降の夏山は比較的快適だった。

 

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