2014年9月28日 真昼岳麓の大平山【県内太平山ハントVol.7】

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真昼岳の秋田県側からの登山口のひとつ、赤倉口。
そこへ向かう未舗装の道路からその大平山を見ることができる。
標高447m、てっきり林道の真っ正面の気持ち三角形の頂きが
それかと思っていたら、手前のこんもりした方が目指す大平山であった。
赤倉コースから真昼岳に向かう途中の、
ヤセツル尾根手前の崩壊地から伸びる尾根の末端にあるピークだ。
県内の太平山ピークハントのラストはここ。
地形図に登山道はなく、また太平山であればこれまで必ずある、
三吉神社の社のマークもない。

登山道がない。とすればどこから登るのか作戦を立てる。
赤倉口から伸びる林道が使えるならば
①これを使って途中からコルを越えて薮漕ぎとする案。
②または林道脇の沢にルートを取って、下山に林道を使う案。
③または尾根を直登する案。
いずれにせよ、標高差は200m足らず。
そして三角点があるからには、測量のための踏み跡があるだろう。

ひとまず林道を確認しようと、赤倉登山口までやってきてがっかりした。
林道は土石流でとうの昔に壊滅していた。
土石流はあちらの沢から流れ込んだようだ。
車は無理だが、人の足なら入れそうなので
林道の偵察に。
かなり長いこと使われていないようで
背丈を超える薮となる。
途中、新しい作業道が交差したが、
どこへ伸びているのか不明。
長く人の足が入らない林道には、日本三大民間薬のひとつ、
センブリが可憐に咲いていた。
林道跡は草も生い茂っているうえに
かなり急だ。ときおりモミジイチゴのトゲトゲが痛い。
何の実でしょう?
マーブルチョコ並みにカラフルできれいな実。
キレハノブドウだそうです。
草薮がなくなり視界が開けた。
崩壊したあとなのか、倒木が折り重なる。
振り返ると仙北の黄色い田園が広がる。
見事なトリカブト。
そのトリカブトの奥にアケビ。
ちょうど食べごろ。何十年かぶりにクズもちのような
優しい甘みを堪能した。
さて、美味しい思いをしたところで林道は濃い薮に呑み込まれ
モミジイチゴの攻撃も激しく、これ以上の進行は正直、イヤになってきた。
林道を使ったルートはここで諦めて、赤倉口に戻る。
11時、次は沢からトライ。
大平山のコルに繋がる沢だ。林道脇から何とか探し出す。
足回りはスパイク長靴。
いざ沢に入ってみると、さすがに沢の規模は小さく
標高も低いので草や木の枝が多いかぶさり、歩きにくい。
沢から上がって、尾根を辿ることにした。
尾根に上がってみると、かなり急な山腹ではあるが
植林のおかげでさほど薮は込んでいない。
そしてその尾根筋には、作業で入った人のピンクテープや
古い境界の石柱が一定の間隔で置かれていた。
それにしても、急である。
薮を掴んで体を引き上げなければ登れない。
途中、カラカラカラと乾いた音がして、なんと目の前に
大きなマムシが鎌首をもたげていた。
マムシといえばもちろん有名な毒蛇であるが、山でみかける彼らは一様に小さく、
たいていが大人しく去って行く後ろ姿しか見たことがない。
大人しい蛇という認識であったが本日の大蛇は、かなりご機嫌斜め。
カラカラカラという音は彼らの威嚇音で
「これ以上近づいたら飛びかかるぞ」と翻訳できる。
マムシを大きく迂回して登って行くと徐々に薮が込んできた。
視界も効かず、最大傾斜を拾って、ときどきコンパスを確認して
薮をかき分けて行く。
20分も薮こぎしたろうか。
地形はやや平坦になり、杉の木が数本見えてきて山頂に。
測量が入ったあとならば、三角点周辺はきれいに刈り払われているが
どうやら今年はそれはなかったようだ。
なんとか薮の中に四角い石柱を発見↑。
ちょうど12時の到着。
もしかすれば三吉さんのお社がないだろうかと
周辺を見てみたが、この大平山には信仰の跡は認められず。
どういう理由でこの山に大平山という名前が当てられたのか、
しばし推理しながら一息つく。
推理1は「太平山」候補地のまま文明の波のはざまで忘れ去られた。
推理2はこのそばの、別の山が太平山なのではないかというもの。
下山は途中から薄い踏み跡があったのでそちらへ。
作業のための踏み跡が、割と立派な登山道となっていた。
ピンクテープも落ちていた。
急な尾根を下って行く。
できれば駐車したポイント近くに下りたいが
道はどんどん、コンパスが示す方角から逸れて行く。
いずれにしても、麓の林道に出るから迷いはしないだろうがなんか
それではルートファインディングのフィニッシュが美しくない。
途中から尾根を外れて、コンパスの示す方向へと
踏み跡を逸れて下りる。
ビンゴ。真昼岳の林道入り口に飛び出た。
県内太平山(大平山含む)全7座これにて完登。
最後のこの一座は、なかなか手強かった。
太平山といえばほとんどが、展望に恵まれ、山頂に三吉神社が祀られ、
下山後は蕎麦を食べるのが恒例であったが
今回は蕎麦もなし。
あとから奥羽山荘という温泉施設で、手打ち蕎麦があることを知り
ちょっと悔しい。
 

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