1日目コース概要
松川コースとは
松川温泉を起点とするロングコース。
松川温泉の登山者駐車場から地熱発電方面へ下り、
さらに松川キャンプ場方面へ進めば
松川コースの登山口だ。
岩手山登山口、ではなく
姥倉山登山口と書かれている場合もある。
登山口には駐車スペースがあり、登山ポストもある。
すぐ近くにキャンプ場もあるので
トイレなど借りることができる。
鬼ヶ城コースとは
松川コースや、網張コース、裏岩手縦走で
岩手山を目指すときに通るコースのひとつ。
切通しというポイントで
外輪にあるこの鬼ヶ城コースと
谷をゆく御花畑コースに分かれる。
外輪を回るのが鬼ヶ城なので
当然展望は素晴らしい。
この鬼ヶ城コースは危険箇所もあるが
一般登山道の範疇である。
三点支持など基本的なノウハウがあれば
問題なく通ることができる。
ただ風や雨など気象条件がシビアな場合は
滑落や転落のリスクが高まるので
要注意だ。
コースタイム(休憩込みでわたしの場合)
9:00 登山口
11:00 姥倉山
12:20 切通し
15:00 八合目避難小屋
山行記録:松川温泉から鬼ヶ城コース
松川コースを姥倉山まで
2023年9月30日、
予定では松川温泉を7時スタートだったが
秋田からの道中、仮眠を取ったりなんだりで
結局9時のスタートである。
登山口で標高870m。
本日は避難小屋まで距離11km。
累積標高1146mの行程だ。
たまたま8時前に雨が降っていたので
おかげで雨に当たらず出発できた。
松川温泉からキャンプ場方面に進めば
キャンプ場手前が岩手山松川コースの
登山口だ。
駐車場にはわたしのクルマだけ。
駐車場の少し先がキャンプ場。
管理棟のトイレは土足禁止なので
使わせてもらいたい場合は
登山靴に履き替える前がおすすめだ。
岩手山まで10キロ!の
看板に見送られて出発。
まもなくクマの攻撃でボロボロになったらしい
標柱の残骸があって
その向かいに、このようなスタイルの
標柱が現れた。
なるほど。クマ生息地においてこれはアリかも。
松坂コースは岩手山へのコースとしては
馬返しや焼走りに比べると
距離も長いし、樹林帯が続くしで
そのせいかマイナーなイメージがあった。
さびれた登山道を覚悟していたが
思いの外、樹林帯の刈り払いは広めに
なされてあって、登山道は明るく快適だ。
まずは湯の森への登りが始まる。
ミズナラやブナが根を張る尾根の急登を。
一泊避難小屋泊まりの荷物で
この急登ではあるが、ようやく秋めいた気温で
体はずいぶんラクである。
9時20分ごろ、湯の森。
標高1049m。三角点がある。
しばらく展望はないものの、
積雪の多いエリアらしく
様々な形のブナにいちいち驚きながら
登っていく。
姥倉山までは登山道は
徐々に斜度を増しながらの
約4kmの行程である。
登山道は整備が行き届いていて不安はない。
何度か小沢を渡渉するが
大きな沢はない。
道中、標柱がこまめに付けられていて
まだ半分かとがっかりしたり。
クマに遊ばれた標柱に
念の為クマよけにホイッスルを
吹いてみたりしながら進む。
いよいよ斜度が増せば姥倉山までもう少しだ。
登山道は洗掘されていて滑りやすい箇所や
ハイステップで越える箇所も出てくる。
うっそうと茂るササではあるが
これだけ広く刈り払われているので
登山道はずっと明るい印象である。
標高1330、姥倉まで1.2km。
このあたりから登山道は九十九折りに
ジグを切って付けられているので
混んだ等高線であっても登りやすい。
きゅっとハイステップで登ったあとは
すぐになだらかに山腹を巻く、の繰り返しで
思いの外、ラクである。
急な山腹の道からは展望もこの通り。
裏岩手縦走路が一望できて何度も立ち止まる。
左のピーク、三ツ石山はうっすらと
赤く色づき始めたようだ。
今年の猛暑で紅葉はずいぶん遅い。
11時10分ごろ、姥倉山到着。
登山道に姥倉山山頂方向を示す標柱もないので
見落としそうであった。
姥倉山から切り通しまで
姥倉山まで来れば、
眼下に雫石や盛岡の街並みも。
ゆるく10分ほど下っていけば
黒倉山との広いコルだ。
コルの向こうに黒倉山、そして大将の岩手山。
鬼ヶ城も起立している。
コルは網張コースからの分岐でもある。
本日、テレビ局の撮影隊が
そちらから登ってきていた。
11月放映とのこと。楽しみである。
さて、ここから切通しまでコースが分かれる。
黒倉山経由コースと、その山腹を巻くコース。
どっちを使っても30分。
とりあえず簡単に昼ごはんを食べてから、
往路は山腹コースを使ってみた。
黒倉山の巻道は
笹の中の展望のない道である。
12時20分、切通し。
ここでまたコースが分かれる。
鬼ヶ城コースと、お花畑コースだ。
どちらも同じくらいのコースタイムだが
鬼ヶ城コースのほうが2時間30分で
お花畑よりも10分ほど短いようだ。
しかしながら、
朝の天気では風が12mとやや強い予報だったので
外輪を行く鬼ヶ城コースはどうしようかと
迷いながらここまできたのだが、
予報よりも風はだいぶ弱くなってきていた。
なので念願の鬼ヶ城コースへ!いざ!
うれしい!
絶景の鬼ヶ城コースへ
鬼ヶ城は危険? コース概要
鬼ヶ城コースは、コース紹介などでは
片側が切れ落ちた危険箇所あり、とか
アップダウンが続く厳しいコース、とか
垂直の岩登りあり、などなど
恐ろしげに紹介されていることもある。
たしかにそういった箇所もあるにはあるが
一般ルートの範疇である。
三点支持をしっかり守れば怖い箇所はない。
アップダウンについても
せいぜい数メートルを上り下りすることが
多いだけで、たとえば数十メートルを大きく
下ったりすることはない。
ただし危険箇所があることは確か。
気象条件が悪い日などはよほど自信がない限り
見送ったほうがいいかもしれない。
また、ストックは三点支持のとき邪魔なので
あらかじめ仕舞っておくか
どうしても持ちたければシングルで。
難所の対応ノウハウは
人それぞれではありますがね。。。
それでは、いざ鬼ヶ城へ!
鬼ヶ城コースレポ
切通しの分岐からしばらくは
展望のないこんな登山道を地味に登る。
途中、振り返れば黒倉山がごつい。
姥倉山から眺めた印象とだいぶ違って
ずいぶんかっこいい山だったことに驚く。
ちょうど撮影隊がその山頂で
見渡す絶景に歓声を上げるシーンを
撮影しているのが聞こえてくる。
灌木帯となって鬼ヶ城ならでは
展望稜線歩きがはじまる。
目の前には岩手山がずいぶん近くなってきた。
岩手山は市街地から急激に立ち上がる、
標高2038mの独立峰に限りなく近い山容である。
このため眼下に市街地が近く、
高度感抜群である。
お花畑コースも見えてきた。
青く輝く湖面が猪苗代湖だろうか。
その手前の草紅葉がお花畑だ。
振り返れば裏岩手縦走路が続く。
大松倉から三ツ石山、小畚、大深岳、源太ケ岳、
そしてその奥に森吉山も。
このコース、アップダウンが多いとあるが
ほとんどは数メートルの岩場を下る程度だ。
足場を探しながら、手も使って下りる。
そして矢印はほとんどが
上を向く。
こうしたコース目印があるので
見落とさないように注意して行こう。
岩場も難しい箇所はない。
足元100mの絶壁に体を乗り出すような
そんな岩場のひとつくらいあるかもなと
鬼の付く名に想像力を膨らませていたが
そんな箇所はない。
進んでは景色を眺め、の繰り返しで
なかなか進まないのだった。
まっぷたつに割れた岩が思わせぶりに
あったのだが、
とくに名もないようだった。
紅葉はやっと始まったばかり。
紅葉を待たずに葉を散らす木も目立った。
プレートに励まされ、景色を糧に進むも
そろそろ足もだいぶ疲れてきた。
さすがにアミノバイタル注入。
そして上向矢印。
岩はどれもしっかりしているので
崩れる不安も少なく、安心だ。
終盤、だいぶ足が疲れてきたところで
空へ聳えるこの登りよ。。。
こんなときは振り返って
絶景エネルギーを補給する。
うほ。かっこいい。
赤茶げた景色が多くなり
いかにも岩手山、火山らしさが
際立ってきたよ。
そそりたつ岩。
ここが、いろんな山記録で記されている、
垂直ルートか。
ここはちょっとボルダリングちっくに。
いや、全然難しくもないよ。
三点支持で慎重にね。
おお巨大ザッハトルテだ。
いや、ちがう。岩だ
お腹が空いてきた。
やはりこの大岩もとくだん名前もない。
鳥海山ならちょうど
虫穴大神が祀られる、あの虫穴みたいな
存在感である。
まるで屏風だ!かっこいいぞ。
この屏風を回れば
そろそろ小屋が見えてもいいんじゃないか。
と、そろそろいいかげん疲れてきた。
が、まだ先がある。
今度こそ!小屋が見えてくれ!
もう飲み物もなくなってしまったよ。
ビールしかないよ。
!!!!
今日は不動平避難小屋に泊まろうと
思っていたが、思いの外
水場のある八合目小屋まで遠い。
空いているなら、八合目小屋に泊まろう。
薪ストーブもあるようだし。
14時40分、宿泊を八合目小屋に決定。
御神坂コース分岐。
ただし令和5年秋現在、御神坂コースは
立木伐採作業のため全面通行止めとのこと。
来年の令和6年3月末日まで。
ゴーロを下っていけば不動平である。
不動平避難小屋
不動平避難小屋はこちらは
管理人のいない無人小屋だ。
知り合いから、飲み会するなら八合目小屋、
静かに休みたければ8.5合目小屋だと
教えられ、ならばこの8.5合目の
不動平に泊まろうと考えたのだ。
だいいち、石造りの外壁が
なかなか素敵な佇まい。
中は岩手県内の避難小屋と
同じ仕様で使いやすくきれい。
トイレは男女兼用であるが
洋式便座でいつもキレイなのも
岩手県の避難小屋ならでは。
その外には広場があって
大人数が休憩できそうだ。
そして15時前ではあるが、今のところ
だれも宿泊者はおらず、なるほど
静かな夜が過ごせそうで魅力ではある。
だが、きょうは
水くみで往復30分はきついわ。
ゴロゴロとした登山道をザック背負って
八合目小屋へ下っていくとする。
岩手山八合目避難小屋
やれやれ着いた!
2014年以来である。
当時は日帰りだった。
岩手山、もはや日帰りするようなガッツはない。
この佇まいで避難小屋を名乗っている。
使用料は1700円。
夏から10月中旬までは管理人さんが常駐し、
グッズなども購入できる。
そして毛布なども 有料でレンタルできる。
いっそ、シュラフとマットの代わりに
お札をたずさえて登ればずいぶん楽に
岩手山を楽しめるだろう。
そしてトイレ棟は別棟なので
ニオイもない。
しかもトイレは簡易水洗で清潔できれい。
そしてなにより、
この小屋に泊まる理由が小屋前のこの水!
この標高で冷たい水が
じゃんじゃん出ている頼もしさ。
さっそく存分に飲んで、ビールを冷やす。
さてチェックインしよう。
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