2025年10月13日秋の秋田駒ヶ岳ムーミン谷〜男岳周回コース

2025年10月13日秋の秋田駒ヶ岳ムーミン谷〜男岳周回コース

一昨年まで、ムーミン谷ツアーでは国見コースを使ってご案内していたのだが、キツイと感じる人が多い印象。

おそらく、登山口から1時間ほどの展望のない樹林帯歩きが、修行系イメージを醸すのだろう。

コケも多くて、なかなか好きなコースではあるのだが、ニーズに応えてこそのサービス業。

昨年からは、もっぱら八合目スタートのツアーとしている。

 

八合目から、人の少ないシャクナゲコースを登り、大焼砂を下ってムーミン谷へ。

そこからは、外輪へ登り返して田沢湖を背に、男岳へ登る。

このコース、秋田駒ヶ岳の人気の見どころをぎゅっと凝縮した、とっても贅沢なコースだ。

 

7時7分のバスを目指して、アルパこまくさに集合する。

そこで見たのは秋田駒ヶ岳。

これ以上にないほど、くっきりと聳えていたのでとても驚く。

というのも、家からここまでずっと雨が降っていた。

そしてどの天気予報サービスも、本日の秋田駒ヶ岳は曇りまたはガスの予報。

風がないことだけが救いだなと、ややテンション低く来てみたら、これだもの。

 

参加のお客さんたちも早めに到着し、バスがくるまで何もすることもないので

「早めにバスに並びましょうか」

と、何でもかんでも先延ばし派の私としては珍しい提案をした。

 

すると、今日の登山バスは1台のみだったので、あとから並んだ登山者たちはバスに乗り込めず、一本あとのバスに回されていた。

早めに並んでいてよかった。

きょうは幸先いいぞ。

八合目から横岳へ

バスをおりてもなお展望はよく、錦をまとった笹森山が登山者たちの称賛を一身に浴びていた。

7時50分、シャクナゲコースを出発。

 

ほとんどの登山者は、八合目から新道コースへ向かう。

なので、シャクナゲコースは静か。

樹林帯をぬけ、焼森の山腹を巻いていくと彼方八幡平方面へと、稜線がのびやかだ。

 

ところが、みるみる雲が流れてきて、焼森に着く頃には真っ白に。

ガスに飲まれながらも、差し込む日差しが白い虹を見せてくれた。

 

景色、真っ白だが無風に近い焼森。

きょうの一座目。

雲海の横岳からムーミン谷へ

焼森で視界がなかったので、そのまま横岳へ灌木を抜けていく。

横岳に到着した一同から歓声が沸き起こる。

なんと見渡す限り、雲海が広がっていた。

どうやらさきほどの焼森では、

その雲海の中に飲まれていたせいで展望がさえぎられていたようだ。

 

雲海から頭を出すのは、鳥海山、早池峰山、岩手山など東北の名峰たち。

 

いつまでも眺めていたいほど、素晴らしい雲海で立ち去りがたかったのだが、きょうの行程はまだ続く。

大焼砂方面へと下りはじめる。

 

ムーミン谷は雲海の下だったので、この先はガスかなと思ったのだが、タイミングよくガスが流れて、小岳が見えた。

奥には女岳も控えている。

 

とはいえここは、雲海の海中だ。

見えたと思っていると、ざっぱーんとばかりに雲が打ち寄せる。

 

そしてムーミン谷のハイライト。

よく旅行パンフに出てくる景色ポイントにくると、またガスが上がる。

初夏に谷を埋めていたチングルマは、いまは赤く紅葉し谷の景色を変えている。

 

谷の底の女岳分岐でひといき。

ムーミン谷には、夏に大いに育ったエゾニュウがそこら中に林立し、われわれは一夏で育ったそのぶっとい茎に、しばし呆れ驚き立ち止まる。

男岳へ外輪のかっこいい急登

ムーミン谷の谷底からは、最短で男岳コルに上がるコースと、女岳方面から生保内コース途中に上がるショートカットコースと、生保内コースの五百羅漢付近に上がるコースを選ぶことができる。

今回は、風もなく展望も期待できるので五百羅漢方面へ。

 

女岳への登り分岐を過ぎ、女岳からの溶岩跡を見下ろしながら巻道を進む。

比較的新しい道なのか、それとも巻道のせいなのかやや歩きにくい箇所。

気をつけて進む。

 

外輪への登りは急登だ。

10mちょっとなのですぐ。

 

登り切れば、五百羅漢の屏風のように起立する岩場と、その向こうへと金十郎尾根。

田沢湖はあいにく雲海の海の底。

 

迫力の女岳を見下ろしながら、外輪の痩せ尾根にとりかかる。

 

ガスがとぎれて、目指す男岳がはるか高く。

ムーミン谷からの登り返しは、どこから登っても急登だ。

ならば一番かっこいい、この生保内コースの急登を楽しむのが良い。

 

ショートカットコースは、地形図に記載されていないが利用する人も多い。

そちらのコースは、男岳への登り返しの途中のピークを越えたあたりで合流する。

 

昭和45年に流れた溶岩も、少し前までは真っ黒だったが最近はコケや地衣類が覆い始めた。

 

ふたたび、雲のなか。

ここから急登。

景色が見えない分、足元に集中できるので都合がよいかも。

 

崩壊地を一歩一歩慎重に。

斜度もあるので、がんばりどころ。

 

男岳の肩まで標高が上がると、女岳はもう見下ろすアングルに。

女岳からの蒸気がきょうは良く見える。

 

あとちょっとだよ〜。

落石させないように、今だけは皆さんおしとやかに足を運んでね。

 

登頂おめでとうございます!

実は今年の夏のツアー時、爆風で撤退した方がふたりおりまして、今回は見事リベンジ登頂を果たすことができた。

あの日の爆風の秋田駒が嘘のような、好天、無風、しかも雲海付き。

きっと秋田駒が「前回のお詫びに」とばかりに、展望のおもてなしをしてくれているみたいだねと笑い合いながらの山頂となった。

阿弥陀池小屋へ

登ってきた外輪。

これで田沢湖も見えれば言うことなしなんだけど。。。

本日の姫様は、あいかわらず雲海の底。

 

お昼ごはんは、阿弥陀池小屋へ。

トイレもあるし。

 

秋田駒の最高峰、男女岳の紅葉は灌木が織りなす錦の絨毯は終わって、草紅葉の黄金とチングルマの深い赤に衣替え。

 

ムーミン谷こと、馬場の小路のファミリーは雲海に沈んでいたが、ときどきその姿を見せてくれた。

小岳の抹茶ロール姿も。

 

きょうは風もなく、展望もいいので外ランチ。

しかも13時ということもあってか、人も少なく貸切に近い贅沢さ。

新道コースを下山

下山は、阿弥陀池から新道コースへ。

きょうの課題、残るは田沢湖展望だ。

さすがにそこまでは欲張りかなと思っていたら、みるみる雲が上がっていく。

片倉展望台からは、青空を写す鏡のような田沢湖が。

 

彼方には乳頭山と、奥に岩手山。

 

ロングコースの疲れもで始める頃、もう八合目小屋も近くなってきた。

葉を落とした木々の白い枝が、終盤の紅葉にリズムをつけて美しい。

紅葉の盛りは、八合目から下へと移っていく。

 

一周してきた。

ご参加ありがとうございます!

人生一番の爆風に撤退する日もあれば、人生一番の雲海に圧倒される日も。

同じ山に何度訪れたとしても、不思議といつも新しい体験が待っている。

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