2014年7月26日 大鏑山へ東ノ又沢から(鏑三山達成)

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鏑山(神室山)、小鏑山(禿岳)、大鏑山とほぼ等間隔で並ぶ鏑三山(勝手に命名)。
本日、残す一座、大鏑山(標高1119.2m)にやっと登頂した。
※昨年の撤退記事はコチラ。
地形図で見れば、最上町側の白川林道終点から登山道が尾根筋に伸びているが
これはおそらく昔に使われた作業道で、今ではほぼ廃道。
ならばこの時期、沢を使って山頂に至るのが手段としては妥当となる。
沢登りはどちらかと言えば、山頂はオマケのようなもので
それ自体が目的となるのがほとんどだが、今回の目的は
大鏑山の山頂に立つこと。今回の沢登りはそのための手段となる。
安全かつ最短で山頂へ至るために選んだのは、東ノ又沢。
大鏑山に伸びる尾根の東側の沢だ。
前回の小鏑山(禿岳)の帰り、林道の状態は確認しておいた。
ちょうど伐採作業が行われており、林道は入渓ポイントまで整備されていた。
クルマを停めておけるスペースも確認できている。
入渓ポイントは林道の最終点であるが、伐採作業の邪魔になってはと
その500mほど手前に車を停める。
身支度中に、作業の人が2人乗ったワンボックスが通りかかり
どこへ登るのかと声をかけてきた。
大鏑山だと答えると、ちょうど伐採作業で作業道が山頂の近くまで伸びているから
それを使えば楽だよと教えてくれた。
ヘルメットやハーネス、ザイルなどの物々しい登攀道具と
沢屋のT隊長はちょうど車の影になり、作業の方からは見えていないので
おそらく流行りの山ガールがこんな辺鄙な
山に迷い込んで来たと思われたかもしれない。
沢から山頂を詰めるのだなんて言えば、ややこしくなりそうなので
情報提供へ御礼を述べるに止めておいた。
車から5分ほど歩いて8時13分、
入渓ポイントに到着。
この先の道は、さきほど教えてもらった作業道。
大鏑山からここに伸びる尾根の西側に付けられている。
下山時、万が一にはこの林道が使えると思えば安心だ。
丸太が数本組まれた橋から沢に入る。
今シーズン初の沢水が、シューズからじんわりと染みてくる。
5分ほどゴーロを歩くと、やや深い釜がある。
早朝のまだ気温がさほど高くない時間、腰まで漬かるのは嫌なので
脇をトラバース。
8時36分。最初の二又を左へ。
先程の二又を過ぎてまもなく、作業道が沢の脇に現れる。
この沢を横切って向かいの尾根に続くようだが
少し古いようで草に半ば埋もれている。
あの林道との合流ポイント付近までは
テープが下がっていたりしたが、ここから先は人の入った形跡は
見当たらなくなった。
入渓から1時間ほどで等高線の間隔が狭まる。
このあたりからようやく小滝が現れ始めた。F1。3mあるかないか。
手頃なホールドがあり、楽しくボルダリング。
すぐにまた小滝。2mほど。
小滝が連続して出てくる。
どれも登りやすい。
タチギボウシ。
タマガワホトトギスがちょうど咲き始めている。
ザイルなしで楽しめる小滝が連続する。
気温も上がって来たので、シャワークライミング。
こうして写真だけ乗せれば大きな滝に見えるが
全体に2~4mほどの小滝が連続する。
ひょいひょいと気持ちよく登れるものだから
ハイペースでどんどん標高が上がる。
なんちゃってチムニー。
こちらも奥まで小滝が連続する。
終盤になると階段状の滝が現れる。
サワモタシが3つ。
さすがに採らず写真だけ。
10時29分、
さきほどまでの登りやすい階段滝から
のっぺりとした岩の2mほどの、滝か段差か微妙なルートとなる。
ホールドも細かくなって、シューズのフリクションを信じて
慎重に重心移動して越えて行く。
10時35分。標高900m手前から水量は乏しくなってきた。
二又になり、どちらの沢が山頂近くまで続いてくれるのか検討。
向かって右側へ。
まもなく水量はなくなった。
水が流れていないと、刈り払われた登山道に似てくるが、
これは登山道ではない。
間もなく谷は山腹に飲まれ、沢筋はなくなった。
11時25分。あとは薮漕ぎ突入。山頂まで標高200mは切っている。
背丈より高い混んだ薮をかき分けながら、急斜面を登る。
フェルト底の沢シューズは滑りやすいが
ここまで笹薮が混んでいると、足場は踏みつけた笹なので
仮に登山靴を履いていたとしても、よく滑る。
薮漕ぎ30分。山頂付近の傾斜が緩むポイントに辿り着いた。
笹薮も薄くなり、細いブナの林が広がる。
コンパスを山頂に当て、三角点を打ち込んで来たGPSも取出した。
二等三角点があるならば、その付近は測量のために
少しは刈り払われているはずとの期待通り。
12時4分、ビンゴ!
大鏑山、1119.2mの山頂に到着。
細いブナの林に視界は遮られ、展望は梢からチラチラとあるだけ。
落葉すれば、鏑山と小鏑山が見えるだろう。
それにしても本当に何にもない山頂である。
しかし、興味を持って二年越しで到達できた山頂はただうれしい。
鏑山、小鏑山の8合目付近には不動明王が祀られていたが
この大鏑山にはそうした信仰の片鱗を見つけることはできなかった。
ノンアルビールで乾杯し、ランチで体を休めたら
ヘルメット、ハーネスの装備を仕舞って下山に取りかかる。
三角点の手入れの状況からして、作業のための踏み後が拾えるだろうと
まずはその、かすかに拾える踏み跡を探しながら下山路の尾根へ向かう。
地形図を見れば分かるように、山頂付近は平坦で薮に埋もれ
目当ての尾根を見つけにくい。
コンパスをセットし、そしてこんな笹薮の中をかすかに
足が入る感覚でそれと分かる踏み跡を拾って進む。
薮から明確な尾根になった。
ところどころ、作業のためのピンクテープが下がっていた。
作業の人たちが辿ることができる、絶妙な間隔でテープが設置されている。
そして時々、地面に落ちてしまっている。
地形図の登山道が記されているルートに沿って、テープは着いているが
案の定、道はかすかな踏み跡でしかない。
読図と藪山に慣れていない限りは、入山できる山ではない。
13時53分。踏み跡は作業用の林道に出た。
今朝、作業のおじさんが教えてくれたもののようで、
山腹を巻いて、ずっと山頂方向へ伸びているようだ。
薮漕ぎも大変なので、この道を使わせてもらう。
が、とても急でラクな道ではなかった。
30分ほど歩いたら、今朝の沢にぶつかったので
再度、入渓。暑い午後の沢歩きはやっぱり格別だ。
とはいえ、疲れた足で下山のゴーロ歩きは
結構疲れる。
15時、入渓点に到着。
まだアブも出ておらず、ヤブ蚊もおらず快適だった。
帰りは大堀駅の向こうにある、りんどう温泉で汗を流して。
日帰り360円。
↓遡行図はコチラ/クリックで大きな画像が見られます。
↓地形図はコチラ

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