ネルドリップでかっぱカフェ

ネルドリップでかっぱカフェ

ネルドリップでコーヒーを
淹れてみたい。
そう思って早30年は経つだろうか。
まだ若かりし頃、いさんでネルを買ったが
調べるほどにネルの保管が面倒そうで、
ライフスタイルが落ち着かないと
ネルの世話ができないと
いったん、諦めたのだ。

ネルを扱うには覚悟がいる。

まず買ってすぐにジャッと
使えない。
10分以上、煮沸してネルの糊を落とし、
さらにコーヒー粉を入れた湯でまた
10分以上煮込む。

使い終わったネルは
水を張った容器に入れ、
冷蔵庫で保管だ。
この水は朝昼晩、取り替えることが理想。
そうしないとネルが臭くなって
おいしいコーヒーが台無しになる。

うわあ。むり。

だが30年の時を経て
ふたたびネルドリップ熱が再燃したので
ようやくこいつをぐつぐつと煮沸し
コーヒー浴をさせ、ホルダーにセットした。

淹れ方なんてペーパーフィルターと
たいして変わらない。
ネルドリップは違う、と賞賛されるほど
そんな劇的な違いがあるのだろうか。

そんな半信半疑もあり、
初期投資は最小限にとどめたい。
なので、コーヒー用のヤカンは
これ、カッパ天国で代用する。

かっぱ天国の脱力っぷりよ。
ネルドリップという
「ていねいで素敵な暮らし」そのものの
行為だというのに、映えるどころか
萎えそう。

ネルドリップは温めておくのがコツ。
熱湯に入れると簡単だが、
熱くて絞れない問題が持ち上がるので
湯を沸かす仕事中の
カッパにかぶせておく。
これで蒸気で温まるというもの。

ネルドリップのお湯の温度は
85度くらい。
なのでカッパで湯を沸かすよりも
沸騰した湯をカッパに移し替えれば
ちょうどそのくらいの温度になる。

粉はお勧めは中挽き。
中細挽きしか家にないので
まあいっか。

あとはペーパーとほぼ同じ。
粉全体に行き渡るよう、湯をそそぐ。
湯量はドリップから1、2滴ほど
落ちる程度。

これで40秒ほど蒸らす。
極上の香りが漂う。

さてそそぐぞ。
のの字を書くように、粉を膨らませるように
細く湯をそそぐ。
ネルに湯がかからないよう、
粉のまんなかから直径2センチほどの
のの字。
最初のお湯は多め。

何度かに分けて注ぐ。

かっぱ、グッジョブ。

飲んでみて驚いた。
同じコーヒーでペーパーを
ネルに変えただけでこんなに違うの?
というくらいに口当たりが違う。

まろやか、とよく言われるネルで
淹れたコーヒー。
すっごくまろやか。
わかりやすく言えば、
超軟水を飲んだ時の滑らかさ。
するすると入っていく感じ。

30年も敬遠していた時間が悔やまれる。
面倒くささを乗り越える価値があるほどの
劇的うまさ。

30年と言えば、10年以上も前に他界した祖母が
生前に瓶詰めにしていたいちじくの甘露煮が
最近見つかったので、こいつと
30年越しのネルドリップを味わおうか。

さて、因縁の面倒な保存だが、
コーヒーかすを捨てて
ネルの表面を撫でるようにして
流水で洗ったら、
ジップロックにいれて
冷凍保存。

昨今はこれでもいいらしい。

使うときに流水で解凍を。

繰り返し使えるが、
目詰まりなどで劣化する。
だいたい30回ぐらい使うと
味が落ちてくるらしいので
そしたら買い替えどき。

コーヒーが好きな方、
ぜひともネルドリップを体験してみて!

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