秋田と山形の県境にある、奇峰と奇岩の甑山。残丘によってできた山容は国道13号線、道の駅おがちからもよく目立つ。
標高981mの男甑と979mの女甑。地形図では女甑に登山道がついていないが甑コルからピストンする道がある。かつては甑峠方面へ降りる道もあったが、あまりに急峻なせいか廃道になって久しい。
コースログはこちらYAMAPでどうぞ。
コースタイム(休憩込み)
08:32 名勝沼付近の林道駐車スペース出発
09:10 名勝沼ほとりの甑コルへの分岐
09:22 分岐
09:32 県境分岐
10:18 男甑山頂
10:51 甑コル
11:18 女甑山頂
11:50 甑コル
12:28 悠森舎(三角の小屋)
13:01 甑峠
13:20 駐車場
参考記録
男甑登山の駐車場から、登山口方面へ向かう廃道ちっくな林道と、そこからやや下り気味に奥へ続く林道があり、その奥へ続く林道をしばらく進む。
殿様街道の、名勝沼への林道手前に車2〜3台ほどのスペースがある。本日はすでに満車だったので、その手前のスペースに駐車。
ここから出発する。
林道をしばらく歩けば間も無く木製の標柱。ここから右に入れば名勝沼だ。
殿様が通ったというわりには、石がごろごろしていてとっても歩きにくい。途中、大きなザックを背負って大きな袋を抱えた男性とすれ違う。ザックも袋もサワモタシでいっぱいだ。
今日はキノコを期待していたが、どうやらわたしのサワモタシシーズンは敢え無く終了したようだ。
名勝沼までのルートは踏み跡を頼りに進んでいく。やや不明瞭ではあるが、沼までさほど距離もないのと、藪も薄いのでここは焦らず突き進もう。
名勝沼から甑登山道までも初めて訪れるとコースがわかりにくいかもしれない。沼の淵をへつるように進んでいく。
途中にナメコゾーンもある。まだこんな程度。冷え込むシーズンが楽しみ。
名勝沼の中央には小島があって、景色を楽しいものにしてくれる。沼をへつっている途中からの眺めが特に良い。
名勝沼から登山道を、甑コルとは別に男甑方面へ。途中にウイルソンカツラがあって、カツラ独特の甘い香りでいっぱいだ。
それにしても本日、やぶ蚊が多い。若干暑かったが薄いウィンドウブレーカーを着る。これでやぶ蚊の襲撃もだいぶかわすことができる。
甑山山麓はカツラやサワグルミなどの陽樹が多い。林床はシダ類に覆われていて視界も良く、気持ちのいい森だ。だが今日はやぶ蚊に急かされ先を急がざるをえない。
分岐到着。年を追うごとにこの看板は崩壊の一途をたどっていたが、ついに用をなさなくなってしまった。
登山道脇には山葡萄が食べごろ。一粒口に入れると濃厚で野性味ある味わい。森の民たちの糧になってくれ。
緩やかな登山道を初秋を探しながらのんびり歩いて行くと、きゅっと急になって県境分岐の尾根に乗る。ここで山形県側からの登山道と合流。
県境稜線を過ぎれば、約200ちょっとの急登に。まあ、こんな急登とはのんびり付き合うつもりでダラダラ登る。
標高が上がると女甑のユニークな山容が見えてくる。標高の高い山は紅葉で賑わっているが、ここ1000m未満の低山はちらほらとウルシが赤くなり始めた程度。
急登を登り切って稜線にでた。すぐ目の前にあるのは前森山。
ここから10mほど下って行く。せっかく登ったのに感。
痩せ尾根をゆるやかに。
ほどなくして男甑の山頂。紅葉も早いシーズンは登山者も少ない。山頂には単独の男性ひとり。
烏帽子岩撮影は、男甑山登頂のお約束。何に見えるかはそれぞれの胸の内に。
男甑を後に、女甑へ向かう。
痩せ尾根にはナナカマドやガマズミに秋が訪れていた。
こちらノリウツギも。ドライフラワーに。
分岐をそのまま進めば、女甑の展望地に。ここから100mほどの急斜面を下って行く。
写真ではわかりにくいが、相当な斜面だ。不慣れな人はここは登りに使った方が安心だ。
まだ下るのか、と思わず何度か口に出るほど下るし何より急。ササや木の根、低木につかまって下って行く。
やれやれコルに降り立った。えらい下った。
下ってコルに下り立てば次にあるのは登り返し。女甑の急登を180mほど登って行く。途中、男甑の単独行の男性とは違う単独行とすれ違う。鳥海山は雲のなかだが、男鹿半島が見えると励まされる。きょうは、1200mぐらいから上はのきなみ雲の中のようだ。
山頂!
狭い山頂だが、1人だから余裕だ。甑山の山頂には大人数を収容できる場所がない。山頂からは丁岳がぎりぎり雲の下に見えたり隠れたり。来週はあちらを周回する予定。
木彫りの素敵な標識。
さて、急斜面を慎重におりてコルに戻り、下山は山形方面へ。コルからはやや急な斜面を倒木を跨いだり、キノコを探したりしながら下って行く。
なかなか手入れされていていいなと思っていたが、
斜度が緩んだあたりから、結構草が被っている。迷うほどではない。
うっそうと草が茂る森を進むと、巨岩が現れついで、巨木が現れた。
女甑の大カツラだ。幹回り13m以上もある。
周辺には大カツラほどではないものの、立派な幹回りのカツラが点在する。
カツラゾーンが過ぎるとブナの二次林が広がる。
矢島街道との分岐に出た。
写真でよく見ていた小屋。悠森舎。
ドアのない独特な佇まいの建物だ。せっかくなので小休止。目の前に広がるブナ林をながめながらのんびりと。・・・としていたのだが、またやぶ蚊が集まり始めたので出発。
これは建物の中にあった絵地図。味わいがある。
ガイドブックなどでは荒れているなどと書かれていたが、さすがは殿様が通った道。なだらかな葛折りになっていてとても歩きやすい。甑山の急登続きのあとでは別天地のようだ。
甑峠を越えて秋田に帰ってきた。
時間にして14時前には下山完了の手軽なコースタイムだが、変化に富んだコースのせいかもっと歩いていたような充実感がある。
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