甑山と書いて
こしきやま、と読む。
男甑と女甑の二座の総称だ。
1000mにも満たない低山であるが
その見た目の奇妙さが印象的で登山意欲を
くすぐる山だ。
秋の紅葉シーズンは当ガイドツアーでは
必ず2、3回はメニューに組み込む。
コンパクトなエリアにいろいろ詰まっているので
お得感があって私個人的にも好きなコース、
という理由でもある。
今年もその甑山縦走ツアー。
例年より紅葉は遅めでしたが
晴天の甑を楽しむことができました。
国道13号線沿いにある、
道の駅おがちでゲストと待ち合わせ。
そこから見える甑山の奇妙な姿にテンション上がる。
右が女甑、左が男甑。
そしてもし今日のコースの標高ログを取ったなら
上の画像の稜線そのままのグラフになる。
秋田県側から甑の登山口へ。
このアプローチの林道は地形図に
記載されていないので、割と知られていない。
まずは、甑峠へと殿様街道を行く。
標柱にはクマの毛がみっしりと。
1時間ちょっとほどで山形の悠森舎に。
三角の屋根はなるほど豪雪でも大丈夫そう。
このとなりに小さな三角屋根があって、
バイオトイレだ。
昨年まで和式だったが、洋式になっていた。
ニオイもなくってキレイで安心。
ここからブナの美しい二次林の森を行き、
甘いカツラの香りが漂うので顔を上げれば
大きなカツラの木があちこちに。
そのうちの一つが女甑の大カツラだ。
森の巨人100選に数えられる。
ブナの純林からカツラの森を過ぎ、
登山道は甑のコルへと登りになっていく。
倒木があると道を見失いやすいのと
夏以降は草が被ってうっそう感がある。
苔に励まされながら、急登を登っていく。
悠森舎から1時間ほどで甑のコル。
きょうはコルからまずは一座目に女甑へ。
甑の稜線に出るとやっと紅葉が見られ始める。
女甑へは130mほどの急登である。
最初はまだ二足歩行だが、だんだん
手も使っての四輪駆動モードに。
ここまで急だとむしろ清々しいくらいだ。
女甑の急登が終わり稜線に出れば
山頂ゴールへのビクトリーロード。
背後にはこのあと登り返す、男甑の稜線。
山頂!コルから30分ほどだが、
ずり落ちそうな急登に充実感いっぱいだ。
山頂の女甑の標柱は「女」を捨てかけていたが
そこはわれわれの女子力でカバーして
女甑登頂の記念写真を撮ってみた。
979mの山頂からは展望がすばらしい。
遠く栗駒山、焼石岳、神室連峰、泥湯三山、
そしてきょうは雲がかかっていたが
鳥海山も近く見ることができるのだ。
のんびり過ごしてから来た道を下っていく。
急登は登りより下りが大変だ。
さて、次はコルから男甑へ。
こちらも100mほどの急登を登る。
最初は二足歩行だが、こちらは途中に
3箇所ほど垂直に近い箇所もあって
両手両足フル稼働。
みなさん、楽しそうでした。
その急登を登り切れば女甑の展望地だ。
眼下には名勝沼もきらりと光って見える。
いつみても女甑の奇妙な姿には
来てよかったという充実感でいっぱいになる。
この奇妙な姿は
残丘というその成り立ちによるものだ。
地中から上ってきて固まった溶岩の芯だ。
この一帯は200万年前にできた火山なのだ。
男甑へのビクトリーロード。
ここの紅葉は早い。
登山道を明るく彩る黄色はヒトツバカエデ。
ずっとこの黄金の回廊が続く。
男甑到着。
シンボル、烏帽子岩もいっしょに記念写真。
その向こうに広がる長大な山塊は神室連峰。
さらには葉山と月山、大朝日連峰も。
先行者と入れ違いに山頂独占。
ほかにグループもいないので山頂でランチに。
日差しも温かで風もなく1時間ほどのんびりと。
下山は名勝沼方面へ。急斜面をおりていく。
途中、いいタイミングで甑のこしかけ。
訪れたらぜひ。
名勝沼の手前ではウイルソンカツラ。
落雷で死んでしまったが、その株の中は
人が数人入れるほど広い。
名勝沼。今日は風もなく
沼は鏡のように秋の景色を映していた。
沼の中央には岩の島があって風情のあるアクセントだ。
名勝沼付近は踏み跡があるものの
何本か小径があってちょっとわかりにくい。
地形図にも載っていないので
ログなどを確認して、出発点の方向を目指すか
経験者と同行するのがいいかも。
駐車場までもうすぐ。
そばにはむかし、盗賊が潜んでいたという
大岩がある。
なにか企むにはちょうどいいスペース感?
甑山ぐるっと周回コースでした。
ご参加ありがとうございます。
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