鳥海山の花ベストシーズンはいつ?
雪解けの進む7月上旬ごろから鳥海山はいよいよ花のシーズンに突入だ。
雪解けとともにショウジョウバカマ、ヒナザクラ、チングルマ、イワカガミ、などが咲き揃う。
7月中旬からニッコウキスゲが咲くと鳥海山は夏本番。
ヨツバシオガマ、チョウカイアザミ、など彩り鮮やかな花々が山腹を賑わす。
8月後半になれば季節は秋へと移り花の彩りは徐々に減り、代わってちらほらと紅葉が始まっていく。
花を楽しむ鳥海山ベストスポット
鳥海山は大きく東鳥海と西鳥海に、その成り立ちの歴史で分けられる。
花を楽しむならだんぜん西鳥海側がおすすめ。
なにもキツイ思いをして山頂までいかずとも十分に花の山を堪能できるコースがある。
西鳥海の特徴
鳥海山は約60万歳。その初期に形成されたのが日本海側の西鳥海だ。
日本海から七合目付近までは比較的なだらかな地形となっている。
東鳥海の特徴
鳥海山最高峰である新山とそれを取り囲む、2000mを越える外輪山から成るのが東鳥海。
鳥海山のなかでは新しく、最高峰の新山ができたのは江戸時代のこと。
なだらかな地形の西鳥海山とは一変し、こちらは標高も高く景色は岩稜帯で険しい表情を見せる。

こうした地形や標高の条件によって、花のベストスポットは西鳥海山に集中する。
西鳥海山のなだらかな地形は遅くまで雪が残りやすい。
このため雪田草原が発達し、高山植物の楽園を随所に作っているのだ。
花の山旅のいちおしスポット鳥海湖
西鳥海山を代表する景色として、真っ先に挙げられるのは鳥の海とも呼ばれる鳥海湖だろう。
この周辺はとりわけ高山植物が咲きそろうお花畑となる。
鳥海山の花畑を楽しみたいのなら、新山往復のキツイ行程を日帰りでがんばって登る必要はない。
むしろ鳥海湖周辺をゆったりと巡るほうが、より充実した登山となるかと思う。
鳥海湖はどこにある?
鳥海山の七合目にあたり、象潟コースを鉾立口から2時間前後の場所にある。
小屋やトイレはある?
御浜小屋があり、ここは正確には御浜参籠所。
参籠所とは、一定期間を籠って神仏に祈祷する場所である。
現在では山小屋として登山者が、宿泊や休憩に利用することがほとんど。
トイレは別棟に男女別、洋式便座。
売店もありシーズン中、飲料やカップ麺のほか御朱印やお守りも購入することができる。
予約問合せ:鳥海山大物忌神社 電話:0234-77-2301
見られる主な花
雪解けから初秋にかけて実に百花繚乱というほどに、花々が週替わりで入れ替わり立ち替わりに咲きそろう。
固有種であるチョウカイフスマは外輪山周辺に集中するが、扇子森付近の1ヶ所でも見ることができる。
オクキタアザミは8月ごろから最盛となり、分布は鳥海山と焼石岳、羽後朝日岳と、ごく限られた山域でしか見ることができない。
ぜひ鳥海山で見てほしい。
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
他にもチングルマ、イワカガミ、コバイケイソウ、オオバキスミレ、ミヤマキンバイ、ミヤマコウゾリナ、ウサギギク、ミヤマリンドウ
・・・キリがないですね(^^;。
鳥海湖周辺散策コース概要
鳥海湖をくるっと一周するコースがあり、この一帯は鳥海山きっての花のプロムナードと言って過言はないだろう。
七合目御浜を起点とし周回できる。
歩行距離:約3キロ
累積標高:約160メートル
周回すると以上の行程となり、反時計回りでも時計回りで回っても同様の数値だ。
おススメは時計回り。
ダイナミックな景色を正面に見ながら歩くことができる。
時計回りならば、御浜から扇子森、御田ケ原分岐方面へ進む。
扇子森を過ぎると目の前には新山が大きく立ち上がり、御田ケ原から草原の木道を進めば、目の前には鍋森や笙ガ岳(しょうがたけ)、眼下には酒田方面の海岸線が展望できる。
それではさくっとこのコースを以下に紹介する。
なお御浜に至るまでの行程は
象潟コース | 大平コース | |
御浜までの 片道歩行距離 |
約3.3km | 約3.6km |
御浜までの 登り累積標高 |
約540m | 約625m |
ポイント | ・展望や景観あり人気
・登山道は広く整備 |
・比較的登山者少なめ |
この2コースあるのであとで詳しく説明する。
鳥海湖周回①:御浜から御田ケ原
御浜小屋から御田ケ原まで約30分。
眼下に鳥海湖を見下ろしながらその外輪を行くとまもなく累々と岩が重なる岩稜となる。
10分ほど登れば広い扇子森の山頂に出る。
扇子森からはなだらかで広い稜線だ。
左右には風蝕パッチと呼ばれる縞々の草原が広がり、これによって高山植物が守られ発達している。
目の前には新山と外輪山の荒々しい姿が迫り、迫力の景色が展開する。
石畳の登山道は50mほどの下りとなって、コルに降り立てば御田ケ原分岐だ。
鳥海湖周回②:御田ケ原分岐から鳥海湖へ
御田ケ原分岐から鳥海湖の外輪を半周し、御浜・鳥海湖分岐まで約50分の行程。
御田ケ原分岐付近は伸びやかな草原で、ハクサンイチゲが群生する。
登山道には木道が敷かれているが、ところどころ傾いているので、雨天などで濡れているときは注意が必要だ。
目の前には鳥海湖形成時にできた、溶岩ドームの鍋森などが見えてくる。
鳥海湖の縁を行く。
ここから鳥海湖外輪への登り返しが始まる。
道は木道が敷かれている。
雪の多い年だと7月上旬まで雪が残るので、チェーンスパイクなどあると安心だ。
滑落予防の装備がない場合は、残雪を迂回して滑落の心配のないルートを見極めて通過しよう。
鳥海湖周回③:鳥海湖分岐から御浜へ
再び御浜へ20分ほど登り返す。
場合によっては逆方向の長坂道T字分岐方面へ向かい下山しても良いのだが、ここから御浜までの稜線は無数の花が咲きそろうフラワーロードでもある。
できれば登り返しをお勧めする。
御浜への登りから振り返る。
7月中旬ごろからニッコウキスゲで黄色く染まる。
ニッコウキスゲが終わるとトウゲブキの黄色と、ハクサンフウロやハクサンシャジンの紫の色の共演が見事に。
それでは次に、この鳥海湖までのコースを2つ紹介する。
鉾立口から象潟コース
象潟コースコース概要
鳥海山登山の最もメジャーな玄関口でもある鉾立を起点とし、象潟コースを御浜へ向かう。
深く落ち込む奈曽渓谷を間近に見ることができる。
御浜まで石畳の登山道が広く整備され迷う心配もない。
象潟コースコースタイム
鉾立==1:20==賽の河原==0:40==御浜小屋==0:30==御田ケ原分岐==0:25==鳥ノ海分岐==0:25==御浜・鳥海湖分岐==0:20==御浜小屋
御浜までの累積標高と距離
□登り累積標高=約540m
□片道歩行距離=約3.3km
アクセス
クルマ
国道7号線から鳥海ブルーラインに入る。
秋田県側、山形県側どちらからでもOK。
秋田市方面からは、無料開放中の高速道路を象潟インターで降りて左折。
ナビには鉾立展望台でセット。
公共交通
定期バスの運行はないが、7月〜9月のシーズン中は土日祝日のみではあるが、乗合バスブルーライナーの運行がある。
ブルーライナーは前日17時までの予約が必要。
株式会社象潟合同交通
TEL. 0184-43-2030
象潟駅から6:20の第一便利用で
鉾立口6:55着。
料金は片道3000円
帰り便は16:20発=象潟駅17:00着。
停留所の象潟駅なら東京からの 高速バスが停まる。
エクスプレス鳥海号なら象潟着5:45。
ブルーライナー号の第一便にちょうどいい。
象潟コース登山口情報
駐車場
稲倉山荘やビジターセンター前の駐車場とは別に、ブルーライン脇に登山者用駐車場があるのでこれを利用する。日本海の展望が良い。
トイレ
男女別で洋式水洗トイレ。
まだ新しく清潔なトイレ。
売店
稲倉山荘でお土産やモンベル商品を購入できる。
ただし営業は9時から。
レストランや軽食ショップもあるので、下山後に立ち寄るのにちょうどいい。
小屋
ビジターセンター横に鉾立山荘があり、素泊まりで利用することができる。
鉾立山荘:
・宿泊料(1泊)2,000円(令和7年)
・毛布(1枚,1泊につき)50円
・布団(1組,1泊につき510円 )
・ガス(ガス栓1個,1時間以内)100円
・シャワー(1基,5分以内)200円
予約:090-3124-2288
※モンベル会員の方布団レンタルが310円に!
象潟コース詳細
象潟コース①登山口から県境
標高1160mの鳥海山五合目からスタート。
稲倉山荘の後ろに回ると登山届ポストや、マップ看板などがある。
登山口からは石段を登って展望台へ。
登山口付近では、初夏にはミズキが白い花をそこかしこに咲かせている。
コンクリートの道の先に尾根が見える。
あの尾根上に登山道が続く。
展望台付近からは奈曽渓谷の眺めが素晴らしい。
視界がよければ渓谷の奥に新山が見える。
白糸の滝は雪解けシーズンや雨天のあとは見られるのだが、夏には水も枯れがちで灌木にも遮られ見つけにくくなる。
登山道は、現地の岩を砕いて敷き詰めた石畳が整備され、これが御浜まで続くので道迷いの心配はほとんどない。
象潟コース②県境から賽の河原
標高1330m付近に秋田と山形の県境がある。
ここから先は山形県だ。
登山口から出発してここで一息入れるに、ちょうどいいポイントだ。
県境をすぎると、右手に尾根を見上げながら登山道は谷間を進む。
徐々に谷は広くなっていき、岩がごろごろ散らばる賽の河原に到着する。
このあたりはオコジョがときおり顔を出す。
チングルマやイワカガミ、ニッコウキスゲなど高山植物もこの辺りから増えてくる。
象潟コース③賽の河原から御浜
賽の河原から御浜へ、谷間のやや急な登りが50mほど。
これを登り切れば草原が開け、北には稲倉岳の牛にも似た重厚な山容が迫る。
登山道脇にはニッコウキスゲやヨツバシオガマ、ウサギギク、ハクサンフウロなど登るほどにいよいよ高山植物の役者が揃い始める。
草原から灌木のなかの登山道が始まると御浜小屋は近い。
夏場は自家発電の音が聞こえてきてほっとする。
以降の行程は御浜から鳥海湖周回コースへ。
大平口から吹浦コース
吹浦コース概要
新山や奈曽渓谷などが展望できる鉾立ほど派手な雰囲気はない。
このため登山客のみならず、ドライブ客でも賑わう鉾立に比べると、人も少なく静かな気分で登り始めることができる。
コースタイム
登山口==0:50==見晴台==1:10==河原宿==0:20==長坂道T字分岐==0:25==御浜
御浜までの累積標高と距離
□登り累積標高=約625m
□片道歩行距離=約3.6km
アクセス
クルマ
国道7号線から鳥海ブルーラインへ。
秋田方面からならば、鉾立を3キロほど下る。
山形方面からならば、大平山荘を1キロほど上ったところで道路脇に広いスペースがあり、そこが登山口だ。
公共交通
定期バスの運行はないが、7月〜9月のシーズン中は土日祝日のみではあるが、乗合バスブルーライナーの運行がある。
ブルーライナーは前日17時までの予約が必要。
株式会社象潟合同交通
TEL. 0184-43-2030
象潟駅から6:20の第一便利用で
大平口7:00着。
料金は片道3000円.
帰り便は16:15発=象潟駅17:00着
停留所の象潟駅なら東京からの 高速バスが停まる。
エクスプレス鳥海号なら象潟着5:45。
ブルーライナー号の第一便にちょうどいい。
登山口情報
標高1080m、鳥海ブルーラインの道路脇からスタートする。
駐車場
約30台ほど停められるスペースがある。
トイレ
登山口周辺にはない。
鉾立(約3キロほど)か大平山荘で済ませよう。
売店
鳥海山四合目にあり、日帰り温泉やレストランも備える。
登山口まで徒歩でも1.2キロ、標高差75m。
土産物のほか、モンベル販売コーナーも。
吹浦コース詳細
吹浦コース①登山口から伝石坂
うっそうとした雰囲気のなか、石づくりの階段を登ると、登山道は石畳に。
ここから見晴台まで、標高差で200mほどやや急登となる。
いかにも山歩きという風情で、なかなか良い。
吹浦コース②見晴台
急登が緩んで視界が開けると見晴台。
見晴台といっても展望台のような整備があるわけではない。
見晴台の登山道脇の適当な露岩にして立てば、眼下に日本海の「見晴らし」が広がる。
急登から解放されほっと一息つくポイントだ。
登山道の斜度は緩み、視界も開け小さな湿原なども現れる。
吹浦コース③河原宿から長坂道T字分岐
かつては湿原や草原だったのだろうが、ササの発達した道をゆく。
累々と岩が散らばる景観に出ると河原宿。
向こうには象潟コースの賽の河原も見ている。
P1577の小ピークの南を抜け、象潟コースの賽の河原からのショートカットルートと合流する。
緩やかな草原で登山道は石畳から、木道に変わりまもなく長坂道T字路分岐にさしかかる。
ここからは鍋森のユニークな姿や、新山の岩峰の姿も大きく迫り景観に恵まれている。
ベンチなどもあるので一息入れられるポイントだ。
吹浦コース④御浜へ
一息入れたら、御浜への登りとなる。
この尾根はだいぶササが進出してきてはいるが、まだまだ広いお花畑となっている。
7月中旬からはニッコウキスゲが尾根を黄色く染め見頃となる。
振り返ると笙ガ岳の整然とした山容が素晴らしい。
やがて鳥海湖の丸い姿も現れ、御浜小屋も近づいてくる。
以降の行程は御浜から鳥海湖周回コースへ。
まとめ
鳥海山は優しげな山容とはうらはらに、行程も長く日帰りとなるとかなりキツい。
花のシーズンは思い切ってピークハントは別の機会まわし、鳥海湖周辺で鳥海山の魅力をたっぷりと楽しんではどうだろう。
コメントを書く