「どこそれ?」な山歩きシリーズ、今回は岩手県西和賀にある、
仙人山。標高882m。山頂には二等三角点がある。
国土地理院の地形図には登山道は記されていないが、
地元では割と登られている里山のようだ。
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国道107号線沿い、道の駅錦秋湖付近から眺める仙人山。
107号線を秋田県側から来ると、存在感のあるどっしりとした山容。
岩手県側からくれば、急峻に切れ落ちた岩壁が印象的だ。
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107号線を秋田から向い、道の駅錦秋湖を過ぎて和賀川にかかる橋を渡る。
まもなく工場入口にしか見えない道があり
その脇には「姥杉入口」など記された、地味な看板がある。
そこを入っていけば間もなく、登山口だ。
久那斗神社入口、秀衡街道入口でもある。
入山ポストなどもあり、かなり整備された様子だ。
8時出発。
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小川を徒渉し、階段を登る。
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すぐ脇を北上線の線路が通る。
鉄ちゃんには興味深い光景?
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秀衡街道とだけあって、古くからの往来で踏み固められた小径は
広く歩きやすい。かつては牛や馬も往来したのだろう。
別名「黄金の道」。言うまでもない奥州藤原氏ゆかりの街道だ。
平泉から横手を結ぶ長大なこの交通路は
14世紀中頃まで盛んに利用されたようだ。
それにしても、東北の里山を歩いていると、
後三年の合戦がらみの伝承に辿り着く確率がとても高い。
東北のなりたちに、その時代がいかに大きく影響したのかが伺えて興味深い。
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ところで、道が二手に別れた。
歩きやすそうなのは左側。さて、どっちとしばし思案。
左側の入口に不自然に置かれた丸太が気になったが
いずれ、登山道も作業道も合流するだろうと気楽に考え、
左側へ進路を取った。
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道は整備され歩きやすい。
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階段に落ち葉がきれい。
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尾根に取りつくと見晴らしがよい。
いつも通る国道107号線がジオラマのよう。
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鉄塔が近づいてきた。結構キツい登りだ。
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ちょうど、眼下の線路を一両編成の北上線が
トンネルを抜けて、またトンネルに入って行くのが見える。
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鉄塔の先にも刈り払われた道があったので
どうやら登山道と合流するかと期待して先を進んだのだが、
なんと、道はぐんぐんと沢へと下りていくではないか。
不安的中で、このキツい登りの道はただの作業道だったようだ。
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まあ、登りの練習をしたということで、と慰めあいながら
沢を越えて、となりの尾根に移る。
ブナの紅葉が見頃だった。
どこからともなく、カツラの葉の甘い香りが登山道に漂ってくる。
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8時53分、正規ルートと合流。秀衡街道だ。
街道は急な山腹をゆるく九十九折りに付けられている。
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古くから街道を見守ってきたのだろうか。
何の神様かは分からない。
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やがて仙人山から伸びる尾根に取りつく。
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9時17分、姥杉。とにかく大きい!
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樹齢900年!
とすれば、秀衡街道が開かれた時代にはまだこの大木は
存在していなかったのか。
街道が栄えて廃れていくまでの歴史を、傍らで眺めながら900年。
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眺める程に感服する。
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9時21分、久那斗神社。姥杉からすぐだ。
藤原秀衡によって創建され、当時は仙人権現社と呼ばれたようだ。
街道の守護神として祀られ、街道の東を守り、
西には横手市山内に、西の仙人権現社があったそうだ。
こちらは現在、筏隊山神社と呼ばれているらしい。
ちなみに久那斗神は古い神様で、集落の入口などに祀られることが多く、
邪霊や災いの侵入を防ぐと信じられていた。
神室山の有屋口にも久那斗神が祀られている。
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神社わきで小休止。動いていると暑いが止まると、晩秋の午前は
じんわりと冷えてくる。
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神社脇からの尾根すじの登山道は、結構登りがキツい。
途中で鉄塔の足元を通り過ぎる。
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キツい登りではあるが、最近刈り払いがあったようで
足元は歩きやすい。
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モロビが出てきた。
標高にして800m前後。
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ようやく急な登りから解放されると
気持ちのいいブナの森。すでに落葉していて空が明るい。
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見晴らし。遠くに早池峰山と六角牛山、五葉山、岩手山も見えた。
近い所では和賀三山の羽山、月山、羽黒山が見える。
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分岐。もうひとつの登山道と合流。
合流してくるこの登山道は急登を一気に詰め上がる最短コース。
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分岐の広場から山頂方面。ここからは一度だけアップダウンがあるが
比較的緩やかな尾根歩きだ。
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11時、山頂三角点。
笹などで視界は遮られ、やや広い広場が作られているだけだが、
風もなく日差しも優しく、昼寝したいような場所だ。
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下山途中、秋田県側を見ると真昼山塊の稜線。
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本日の入山者は我々だけ。静かな秋の山を堪能できた。
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景色を見納め。
下山は朝に迷い込んだ巡視路ではなく正規ルートを。
なんだ、こんなに近いのかと苦笑する。
13時に登山口到着。
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本日の収穫。
ムキタケとクリタケ。思ったよりキノコが生えていなかった。
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下山後温泉はほっとゆだ駅。大人300円でリーズナブル。
この向かいのお店は蕎麦祭り加盟店。
お昼を過ぎていたが1時間待ちと言われ、名簿に記入して
温泉に入った。
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温泉でさっぱりしたあとは、本日のメインイベント蕎麦祭り。
大ざるそばは2人分だが、一人で完食。880円。
しっかりとした蕎麦の味が楽しめて大満足。
ちなみに錦秋湖はダム湖だが、この秋は10年に一度の整備だとかで
水が干されている。普段は湖の下になっているかつての線路など
見ることができて、ダムファン必見。
紅葉、温泉、キノコと贅沢な秋山でしたね。錦秋の森の美しさを、きつい登りで十分に体感できました。新そば、おいしかったですね。また行きましょうね。
秋山の魅力が一日に凝縮されました。
やっぱり秋は美味しいものがモチベーションですね。
再びこんばんは。
残雪期にしか行けない(やぶがひどい)と思っていましたが,刈払っていたのですね。
春の山野草もきれいな山ですよ。
yuraさん、こんにちは~。
春、よさそうですね。近いしリピってみます。
ちょうど刈り払いがあったばかりでラッキーでした。
地元の方に感謝です。
真昼、和賀の縦走計画を練っていたところ、近くに『御嶽山』なる破線が引かれた山を発見。
調べると、全国あちこちに御嶽山・御岳山、オンタケサン・ミタケサンなる山があるとのこと。
これらが全て、かの木曽御嶽山に通じるものかは定かではありませんが、今年の締めは横手の御嶽山から犠牲者を慰霊しようかなとも・・・
直は既に初冬ですが、そちらはいつ頃まで登れるでしょうかね?
Qさんこんばんは。
同じことを考えてますね。真昼、和賀縦走。
御嶽山は積雪がなければ、大丈夫ですよ。
(アプローチ道路は舗装されているものの
冬期は除雪されていないので)
1時間ぐらいで山頂で、さらに30分足をのばせば
黒森山です。稜線歩きが気持ちのいいミニ縦走コースです。
逆に黒森山からルートを取るのもいいかもしれません。
都合が合えば合流しちゃおっかな♪
バリコさん、こんにちは。私も今年「秀衡街道」に興味を覚え久那斗神社まで探訪してきました。ちょうど訪れた時修験者の方と一緒になり案内していただきました。途中にある石碑はその方が担ぎ上げたそうです。確かマイブログにその時の状況をアップしたはずなので覗いてみて下さい。
civil_eさん、お久し振りです!
ブログ、とても興味深く読ませていただきました。
東北の山歩きをしていますと、こうした歴史の片鱗に触れることが
多々あり、山の楽しみが増えました。
それにしても8月の峠歩きは、暑かったでしょう。