雨だし、マニアじゃない人の山カメラ選びについてまとめとく。
とりあえず今回は、
■私の山カメラ遍歴ざっと
以上を。
ついでにこの春に買ったSONYのα6300についてざっくりと
山ガール目線で語りつつ。
ミラーレス一眼カメラ。世界最速AF。軽い。撮像素子はAPS-C。
クラス最軽量α6000の後継モデル。
型落ちとなる6000が狙い目ではあったが、
こちらには6000にはなかった水準器が搭載となったのが、
新発売ほやほやの価格の垣根を越えて購入に至った大きな理由。
水準器と4K動画にこだわらなければ、今なら6000の方が
べらぼうにお買い得だ。あの軽さとあのスペックは賞賛ものだ。
ちなみに水準器というのは、撮影のときにカメラを
水平にできるように表示される目盛りである。
ただそれだけの機能なのだし、三分割補助線で代用もできるのだが
水準器がばしっと欲しかったのだ私は。
水平が甘い写真は落ち着かない。このあたりは人それぞれ。
α6300以外のカメラをざっと紹介。
今も持ち歩いているが、メイン機のリコーのGRデジタル。
コンデジでありながら、単焦点レンズ採用。撮像素子は1/1.7。
外観デザインは銀塩時代からずっと変わらないこの硬派スタイル。
ぶれないその在り方はもう惚れるしかない。
最強のスナップシューター。
撮りたい時にさっと撮れる機動性と画質の良さはノンストレスだ。
そしてこちらはオリンパスのμ-Tough。
防水カメラでそして頑丈。トリセツに「カメラの水洗いの仕方」が
あったのには驚かされた。沢登りや吹雪の日の山の相棒である。
土砂降りだろうが、シャワークライミングだろうが
躊躇なく取り出せるタフさはノンストレスだ。
以上が私の今の山カメラである。20代のころはまだデジカメもなく、
重たい一眼レフをぶら下げていた。ネックレスもつけない私が
カメラだけは毎日、首からぶら下げていたので重いという感覚もなく、
カメラというのはそういうものだったのだが、
デジカメ時代の到来を機会にコンデジに変えた。
ニコンのクールピクス。デザインがかわいくてテンションが上がる。
それだけの理由でデジカメ生活が始まり、今に至る。
■μToughにGRデジを買い足した理由
タフさにおいてノンストレスのμToughがありながら、
GRデジをヤフオクで競り落としたのは、μToughの動作の遅さに
ストレスがあったためである。
露出補正、マクロ切り替えなど頻繁に使うのだが
当時のμはこの動作がすこぶる遅い。せっかちな私はついつい余計に
ボタンを押してしまい、二度手間操作となり余計時間がかかる。
もっとサクサク動くカメラが欲しいと思ったのである。
そこで、リコーのGRという名機の存在を知った。
見た目、地味。その地味さが銀塩時代から受け継がれた外観という
歴史ある地味さだと知り、心が動かされた。
単焦点レンズへのこだわり、そして画質評価の良さと
優れた機動性。スペックを確認するほどにますます惚れた。
単焦点レンズということは、
ズーム機能をばっさり切り捨てたことを意味する。
広角気味の画角は、一瞬のシーンを逃さず写し取れる画角である。
その画角が気に入らなければ、撮影者が動けばいいのだ。
かっこいい割り切りではないか。
実際GRはセンサーサイズこそコンデジの1/1.7ではあるが
非球面レンズ2枚を含む6群8枚の単焦点レンズの性能と相まって
なかなかいい画質である。そりゃ、フルサイズなどには
及ばないにしても、山で求められるのは
第一に軽さと機動性だ。総合的にかなり充分である。
■GRデジにα6300を買い足した理由
GRデジはそのコンセプトといい、実力といい大好きだ。
だがしかし、唯一のストレスがピント合わせである。
たとえばこういう、ちっさいタケシマランの実を
単焦点レンズならではの背景ぼかしでかっこよく撮りたいなと
思ったとする。だが、たいていのコンデジは、こういう
被写体が苦手だ。奥のどうでもいい枯れ葉などに
ぴしっとピントが合うばかりで、なかなか目当てにフォーカスしない。
何度、もういい!と諦めたことか。
マニュアルでピント合わせをする機能もあるにはあるが
使いにくい。なので使ったためしがない。
私としては、レンズのリングを回してのピント合わせのように
シンプルな動作でさくっと合わせたいのだ。
ピントが合わないストレスがじわじわと累積し、
一眼が欲しくなり、しかし一眼は重いから山にはちょっとなと
思っていたところへ、クラス世界最軽量を謳うSONYのα6000が
目に止まったのだ。だが水準器がないのかと思っていたところへ
6300が発売になったのだ。
■さらばピント合わせのストレス:α6300のピント合わせ
爆速AF!とそのキャッチは踊るのだが、子どもだのアスリートだの
犬猫だの、頻繁に動き回る被写体は撮らないので
さほどAFの早さにはこだわらないが、早いことはいいことだ。
いずれ何かの役に立つだろうな。
α6300のフォーカス設定は5パターンあり、好みの設定ができる。
●シングルAF:ピントが合ったらピントを固定する。
●コンティニュアスAF:シャッター半押しの間、
動き回る被写体にピントを合わせ続ける。動物や子ども、スポーツに。
●AF制御自動切り替え:シングルAFとコンティニュアスAFを
被写体に合わせて自動で切り替える。
●DMF:オートフォーカスと手動フォーカスの組み合わせ。
オートフォーカスした後で、画像拡大して手動でピントの微調整。
私はもっぱら、これ。便利。
●マニュアル:すべて手動。
DMF設定で、これまでピント合わせで抱えたストレスが見事に解決した。
AF機能自体、かなりびしっと決まるのだが
例えばF値3前後で被写界深度が浅い写真を撮るときなど、重宝する。
花なんか、雄しべ雌しべにピントを合わせたいときが多々あるが
このDMF設定なら、レンズのリングを回しての微調整ができる。
■DMFをもっと便利にする機能
DMF設定を選んだら、MENUのカスタム設定で
MFアシストをオンにすると、ピント合わせの画面が拡大されるので
より精密にピント合わせができるので便利だ。
同時に同じくカスタム設定でピント拡大時間も設定する。
これは2秒、5秒、無制限から選ぶことができる。
レンズリングを回してピント合わせを行ったあと
何秒後に、拡大解除するかの時間設定だ。私は2秒に設定している。
これらの機能を使ってのピント合わせの流れは
1)シャッター半押しで被写体にオートフォーカス。
2)レンズのリングを動かすと被写体が拡大される。
3)レンズリングを回してピントを調整。
4)リングを止めて2秒で拡大画面解除。
5)撮影。
簡単だ。
F値を明るくしての撮影だと、ピントを合わせる位置が
シビアになるので背景ぼけ写真を撮りたい時や
人物の瞳にピント合わせしたいときなど重宝する。
ピント微調整が必要ないシーンでは、レンズリングを動かさなければ
通常のAF撮影ができる。
■ピントを合わせる位置を選ぶ
MENUの撮影設定からフォーカスエリアで選択できるのが、
ピントを合わせる位置である。
私はほとんど中央に設定しているが、三脚に固定して
撮影のときなど中央でピント合わせてからカメラを振って
構図を決めるのが難しいときなどは、
このフレキシブルスポットMが重宝する。
ざっと6種類の設定を説明すれば、
●ワイド:モニター全体から自動でピント合わせしてくれる。
●ゾーン:縦に三分割したモニター位置から
ピントを合わせたいゾーンを設定する。
選んだゾーンの中で自動的に
ピント合わせしてくれる。
●中央 :常に中央にあるものにピントを合わせる。
●フレキシブルスポット
:モニターの好きな場所にピントの枠を
移動させることができる。
●拡張フレキシブルスポット
:上記のフレキシブルスポットでピントが
あわせられないとき
その周辺にピントを合わせてくれる。
ま、フレキシブルスポットの保険みたいな感じ?
●ロックオンAF
:これはAF設定が
AF-C(コンティニュアンス)のとき有効。
つまり被写体をシャッター半押しでピントを合わせ、
ロックオンして追尾したいとき設定すると便利。
このとき被写体をロックオンするときに、
どのフォーカスエリアからロックオンを開始するかの設定だ。
この設定のみ小さく三角マークがあり、フォーカスエリアを
選択して設定する。このエリアを選択するには
コントロールホイールなどを左右に動かす。これで
ロックオン開始のフォーカスエリアを選ぶことができる。
私は使わないのでこの機能が便利かどうか不明。
■撮影素子サイズについて
一昔前などカメラの性能のものさしに、ズームがあったっけ。
ズームが脅威の100倍!なんてキャッチが
こっぱずかしいほど堂々と謳われていたものだが
今時、このキャッチでカメラを選ぶ人もいまい。
しかし画素数の大きさを選択基準にする人はまだいそうだ。
私は画素数は全くチェックしない。
今どき、そのカメラ性能に満たないような画素数の製品など
ないだろうと思っているし、そもそも一般ユーザーならさほど
大きく引き伸す機会もないだろう。
通常240dpiもあれば充分かと思うが、仮に300dpiで
プリントアウトすると仮定し、理想的な画素数目安は以下となる。
・・・ややハイスペック気味であるが。
●L判 :160万画素ぐらい(240dpiなら105万画素)
●2L判 :350万画素ぐらい(240dpiなら225万画素)
●A4 :920万画素ぐらい(240dpiなら600万画素)
●A3 :1850万画素ぐらい(240dpiなら1200万画素)
ちなみにdpiとは1インチあたりに収まっているドット数のこと。
数字が高い程、緻密ということになる。
モニターでは72dpiが使われる。画像のdpiがどんなに高くても、
プリンターなどで1インチに出力できるドット数が
低ければ、オーバースペックとなってしまう。
では何で選ぶのかといえば、私は撮像素子を見る。
撮像素子は簡単にいえば、被写体の光をキャッチして
電気信号に変換する装置。
このサイズが大きい程、より多くの光を受け取ることができ、
早い話が画質が良くなる。
暗い時間帯でもきれいに撮れるし、コントラストがきつい場合も
白とびや黒つぶれが減り、滑らかな色調が写るなど
細部がより美しく写る。神は細部に宿ると言うが
まさにこの細部が決まると、ぐっと全体が際立つものだ。
撮像素子は簡単に、手持ちのカメラで比較すると以下の図になる。
フルサイズが、デジカメの一般的な最上位。
α6300はAPS-Cサイズで、中級機種の一般的なサイズだ。
GRは1/1.7でコンデジの一般的サイズ。新モデルのGR?は
APS-Cサイズが採用されている。かなり欲しい。
画質にこだわるならばフルサイズが一番なのだが、山用と考えると
問題となるのがその重さだ。本体だけで700g前後あるとして、
レンズもフルサイズ用は大きくて重い。
合計で水1リットル分にも匹敵するかそれ以上の重量となると
プロでもないのに画質に無限にこだわるわけにはいかなくなる。
その点、α6300は本体が361g。バッテリーとメモリ入れて404g。
レンズはSEL35F18で154gだ。合計で558g。
レンズをSEL20F28なら69g。合計で473g。
ビールより重いがまあ、許容範囲である。
重さ以外に重要なのはサイズで、いちいちザックに仕舞ったり
かといってずっと首からぶら下げるのも邪魔くさい。
薮こぎや、難所歩きの邪魔になる。
いつものウエストバッグに余裕で入るサイズ、それが私の条件で
α6300は充分にこれをクリアする。
これがα6000なら、本体の材質からして軽量で285g。
69gのレンズをつければ合計で354gで、
山歩きには贅沢なほどに軽量なスペックとなる。
これで水準器が搭載ならば、本当に私的には最強の山カメラだが。
■APS-Cと1/1.7、実際に撮り比べてみた。
さほど撮り比べの意識もなく撮ったので、あまりフェアな比較ではないが
ざっくりと感覚的に実感するには充分かなと思う。
この春先の日没後、庭に咲いたシャクナゲをα6300と
GRデジタルで適当に撮ってみた。
どちらもA優先モード。
私はブログに使う画像は画素を落とすので、画面で見る限り
分かりにくいかもしれない点、ご了承願いたい。
こちらGR。F値4.0 、露出補正-1.0、シャッター速度1/32、
ISO500。
こちらα6300。F値5.0 、露出補正-0.7、シャッター速度1/60、
ISO2500。
正直、衝撃的だった。薄暗くなりはじめた頃合いの写真である。
写り込むことなど期待もしていなかった色彩の諧調が
想定外に緻密にきちんと写っている。
しかもこのISO感度で、このノイズの少なさ。
昔、天体写真を撮っていたのだが、
そのときに使うフィルムが感度800~1600ぐらい。
現像すると粒子が粗くて粗くて、普段使う気になれないものだった。
それが、この高感度でこんなにきれいに写るのかと
とても驚いてしまった。
花の部分だけアップ。
こちらGR。たぶん撮り比べなければGRの画質でも
私的には十分である。
なので、機動性と画質と軽さの三拍子揃ったGRは
今後も持ち続ける。何より、コンデジの撮像素子サイズだと
被写体に1センチ以上も寄ってのマクロ撮影ができる。
一方でα6300。
被写体の緻密な色彩の諧調が描写されるのは
思いがけず、かなり気持ちがはずむ。
「このコントラストでこの部分は潰れるな」とか、
「この色調は無理だな」とか無意識に諦めていた部分が
思ったように記録される、このカメラへの信頼感が
そのまま写す楽しさを押し上げるのだ。
次回はレンズと、その他便利な機能などレポします。
コメントを書く