2020年8月22日 小又峡縦走路を歩いてみた

2020年8月22日 小又峡縦走路を歩いてみた

小又峡縦走路を化ノ沢からノロ川園地まで。

今年は太平湖の遊覧船が、通常1500円くらい
だったところが無料となっている。
この遊覧船を使って散策するのがこの
三階滝と甌穴の小又峡。
見応えある景観で何度か足を運んだスポットだ。

で、その散策路から分岐して
小又峡縦走路がある。
ちょうど、化ノ沢のナメ床が
合流する付近にその縦走路を示す標柱が
やぶに埋もれるようにして立っている。

気になっていたので、
こういうことは森吉のタナカさんの出番だ。
お願いして案内してもらった。
きょうは、矢留山岳会のすよさんも。
藪漕ぎがしたいと言っていたので
もしかすればヤブかもよと誘ったのだ。

縦走路の所要時間と必要な準備

この縦走路は入り口が太平湖を渡ったところに
あるため、遊覧船を使うことが前提となる。
そして、小又峡桟橋のスタートから
せっかくなので三階滝も見物してスタートすれば
コースだいたい8キロほど。
所要時間は足の揃ったメンバーでも
普通は休憩込み5時間は見ておきたい。
ということで、ピストンは無理だ。
戻ったところで帰りの船がない。
なので、クルマ一台を終点にデポする必要があり
クルマなりタクシーなりの足が必要なコースである。

また、取り付きからナメ床の沢に取り付く。
階段状にU字の杭が打たれているが
滑りにくいよう、スパイクのついた
靴など足回りの用意が必要。

コースGPSデータはこちらからどうぞ。

コースタイム

09:30 始発の遊覧船乗船
10:00 下船&スタート
10:35 三階滝
10:43 縦走路へ
11:30 六階滝展望
11:40 扇ノ沢渡渉
13:50 沼ノ沢合流
14:05 林道(小又峡縦走路入口)
14:30 親滝展望
15:04 ノロ川園地(駐車スペース)

遊覧船が9時30分始発なので
それに合わせて出発。
他の観光客に巻き込まれないよう
早いピッチで三階滝を見物して
ここ、化ノ沢に戻ってきた。

入り口こそ普通の登山道のやや急な感じかと
思いきや、平行するこの
化ノ沢をいずれ登ることとなる。
登山靴では滑りやすいので
いつぞや急な里山用にと買った、
モンベルのリバーシブルグリッパー
登山靴に装着する。

沢はつるつるのナメ床で
普通には登れない。
横に鉄筋フックが打たれていて
これをハシゴがわりに登る。

ナメ床の化ノ沢を振り返る。
この小又峡縦走路、
昔、高校総体だかの
登山部の縦走コースだったそうな。
昔の高校生登山部、かなりガチ。

そんなスリリングな沢登りが
終わると今度は、
急斜面に取り付けられた鉄ハシゴを
登っていく。
この鉄ハシゴがかなり朽ちていて
急勾配よりもハシゴが壊れそうで
むしろ怖い。

この先どうなることやらと
しょっぱなからのワイルドな
アトラクションの豊富さに驚いたが
鉄ハシゴを登りきるとなんと、
打って変わって
丁寧に杭打ちされて補強された登山道。
遊歩道のような平和さにちょっと面食らう。

などと思いきや
あっという間にまた急勾配。
ロープが下がっている。

そしてまた鉄はしご。
なんと最近付け替えられたようで
新品だ。
この縦走路については、
もっとヤブ化して放置されたような
イメージを勝手に想像していたが
どうやら、定期的に整備されているようだ。

途中にまだ咲いていたアクシバ。
ほとんどはもう赤い実になっている。

このコース、もっと
鬱蒼としたイメージを持っていたが
入ってみると
こんな痩せ尾根が続く。

で、またハシゴ。

ハシゴのあとは
痩せ尾根の背骨のような
岩を削って作った階段と鎖。
なかなか楽しいぞ。

とにかく痩せ尾根なものだから
当然、出迎える樹々は
クロベにキタゴヨウに、ときどき
天然杉。

はるか眼下に六階滝が見えた。
六段のうちの三段が登山道から
なんとかみることができた。

コース上にはやたら
倒木が多くて、跨いだり
くぐったり。

標柱があったが森吉らしく
ほとんどがクマのおもちゃに。
標高616となっていたが
実際は580ぐらいだった。

一旦下って、急斜面を登りかえす。
割と新しい太い鎖が設置されている。
コースは急斜面のアップダウンが多くて
登山靴だと滑りやすい。

スパイク長くつか
滑り止めになる装備があると
安心だと思う。

コースから覗き込めば
小又峡のスラブ。
ここはつくづく沢登りというより
泳ぎがメインになりそうな沢。
というか、この沢の遡行は
わたしには無理だわ〜。

かなり秘境に入ったつもりで
コースはところどころ
杭打ちされていてこんな穏かな
一面も見せてくれ、
ものすごく振り幅の大きいコースだ。

遊歩道を歩いていたと思えば
こんなヤブにもなる。
だが、数日前に枝払いがあったようで
新しいナタの跡がみられた。
登山者にはとてもありがたい。

P618の尾根に上がったあたりで
落雷で黒焦げになったクロベ群が
現れた。
尾根上の数本が真っ黒で、
一時はこの尾根に火の手が
上がっていたのかと感慨深く眺めながら。

急な下りだが
しっかりとした階段がある。

本日もさすがに暑い。
ときどき風のわたるときもあるが
このコース、おすすめは秋だろう。

だがしかし、落葉が進めば今度は
落ち葉で足元が滑りやすくなるしで
一長一短か。

扇ノ沢に出る。
落ち葉や木の枝が堆積しているが
沢床はナメで滑りやすい。
結局きょうは、
モンベルのリバーシブルグリッパーを
ずっと装着。

扇ノ沢。ここを少し降りれば
佳滝などが見えるんだろうなあ。
きょうの装備では無理。

ふたたび登りに。

登りきったところがまた
痩せ尾根。

痩せ尾根の高いところから
覗き込めば、眼下には
小又峡のゴルジェ。

こんな際どいところが
展望スポット。てかピンスポット。

佳滝の上部かな。

一人ずつ、滝の展望を楽しむ。
ここもやはり痩せ尾根で。

痩せ尾根を過ぎればまた登り。
この先、650〜660の小ピークを
3つほどアップダウン。

途中の記念写真スポット。
クロベなどは根元がこんな
トンネルになっているものが多い。

理由はこれ。
元あった、古株の上に生えるから。
古株が朽ちてなくなると
その部分が空洞のトンネルとなって
我々の撮影スポットになる。

タネの発芽が、普通に
土の上だと他の植物に邪魔されやすいが
株の上だと比較的育ちやすいのだろう。

この写真のクロベも数十年後は
人がくぐれそうな股下が
できあがるのだろう。

アップダウンと気温が
応えるわー。
わたしは本日スポドリ1.5リットル近く
飲んだほど。

森の中はところどころで
クマによる皮はぎの跡が見られた。
不思議と松ヤニが出ている樹木で
剥ぎ行為がなされていて
何か理由があるのだろうか?

「・・・松の香りの癒し?」
そんな推論を重ねながら登る。

アップダウンが終わって
沼ノ沢への下降。

沼ノ沢。
巨石がごろんごろん。

沼ノ沢と小又川の合流点。
この先から
小又峡名物(?)ゴルジュが始まっている。

ここから本コース最後の
大きな登り。
だいたい90メートルを一気に。

ときどき、四輪駆動でないと
登れないほどの急登もあり。

14時すぎ、縦走路終了!

鳥獣保護区の標柱だとも知らず
クマは立ってるものなら
なんでもカジらずには
いられないようだ。

林道の状態が良ければ、ここまで
クルマを入れてデポもできたが
途中、路肩が崩れていて
クルマでの侵入は無理っぽい。
そしてクルマが入った形跡もすでにない。

さてこの先は夏の炎天下のもと
えんえん林道歩きかと覚悟したのだが
少し行けば、ノロ沢沿いの歩道が、
刈り払いもしっかりされていて
歩けそうな様子。よかった〜。

地形は穏かになって
クロベに代わってブナ林に。

途中で親滝を見物。

ブナは幹の外側があれば
生きられるとは聞くが、それにしても
このブナのアクロバティックな
生き様ときたら。
しばし口を開けて見惚れる。

ノロ沢をはさんで対岸に
道路が見てきた。

あの橋を渡れば、もうノロ川園地の
駐車スペース。

ちなみに我々の逆コースを行けば
こんな案内となる。

遊覧船の最終便が16時だから、
何がなんでもそれに合わせないと
帰れなくなる背に腹は代えられぬコース。
遊覧船チケットは
グリーンハウスでしか売ってないが
さて、どうしたらいいのかは
あらかじめご確認を。

それにしても想像したより
とても変化に富んだ面白いコース。
地元できちんと手入れされている理由も
納得のいいコースだった。

秋の紅葉シーズンや
葉の落ちた展望のいいシーズンにも
訪れたいなと思う。

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