真昼岳のブナの森に舞っていたもの

真昼岳のブナの森に舞っていたもの

昨日の土曜日、真昼岳の赤倉コース
ブナの新緑目当てに歩いた。
真昼岳の山腹のブナ林は、素直にまっすぐに
幹を伸ばした若いブナがほとんど。

密度の濃い、若いブナの森に
春の日差しが差し込んでいて
その日差しとともに、何かがひらひらと
ときどき日差しを反射しながら落ちてくる。

目の前にも落ちてきたので
キャッチすると、ブナの芽鱗のようだ。
芽吹いた花芽か葉芽が
脱ぎ捨てたものなのだろう。

それが、風が通るたびに
まるで光の粉のようにブナ林を
ゆっくりと落ちてくる。

ようやく、ひと冬の役目を終えたのかと
そう思ってひらひらと舞い落ちる様子を
眺めていると切なくも、
安らかな気持ちにさせる、
不思議な光景だった。

芽鱗というのは、これ。
ブナが翌年の花芽や葉芽を
一冬、厳しい気候から守るための
サヤだ。

芽吹きの気温になると
まっさきに開くのは、葉芽と花芽が
いっしょに入った芽鱗。

次いで、葉芽だけの芽鱗からも
数枚の葉っぱが顔を出す。

葉芽がすっかり出てきたもの。
若葉には、芽鱗の破片が付いている。
あれが、風がふくたびに
はらはらと林床に落ちていたのだ。

ブナは前の年から翌年、
芽吹かせる葉っぱをこうして
用意しているので、芽吹くのが早い。

林床に落ちていた雄花。
モフモフした毛で覆われているのは
まだ寒い時期なので
寒さから花粉を守っているのだとか。

ブナの受粉は風まかせ。
だから花も地味。

脱ぎ捨てた芽鱗は
残雪期に見つけやすい。
残雪の一面が、芽鱗で赤茶色になる。

コケの上にも。

こんなところにも。

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