三ツ石山とはどんな山?
岩手山から八幡平を結ぶ縦走路の
ほぼ中間地点に位置する三ツ石山。
標高1466m。
山頂部に3つの岩が並んで見えることから
三ツ石山と呼ばれてきたという。
三ツ石山を最も有名にするのは
9月中旬から本州の
どこよりも早く始まる紅葉だろう。
山頂の露岩に立てば
眼下のなだらかな山腹は錦に染まり
その所々にハイマツの濃い緑が
絶妙なコントラストを添える
一度見たら忘れられない景色が展望できる。
コース概要
ここでは
本来ならば自分の足で登るはずの
380mをリフトを使うことで
かなりラクができるとっておきの
縦走コースを紹介したい。
ただし2024年はリフト運行が
8月いっぱいまでなので要注意。
第一リフトは11月まで運行する。
登山口と駐車場
網張スキー場が登山口となる。
周辺には網張温泉があり下山後の
汗と疲れを流すのにもちょうどいい。
リフト
グリーンシーズンの網張スキー場では
山麓から犬倉岳直下までを繋ぐ
3本のリフトが運行している。
380mの標高差をゆっくり40分弱。
空中散歩もなかなか気持ちがいい。
リフト営業期間
リフトは第三リフト終点まで
3基のリフトを乗り継ぐ。
令和6年は補修のため犬倉山行きリフト運行は8月まで。例年は11月初旬ごろまで運行される。
雨天や雷、強風時は運休や運転見合わせとなる。
下山時リフトが使えない場合はスキー場内の登山道を使う。
※運行の期間と曜日に注意。
犬倉山行:7月〜8月の土日祝日のみ運行(令和6年)
※第一リフトは6月〜11月初旬ごろまで毎日運行
リフト営業時間
6時30分〜17時まで運行する。
三ツ石山往復にはのんびり歩いても
十分な時間である。
万が一、下山時にリフトが雨などで
止まってしまっても
その脇に登山道があるので
じぶんの足で降りて来れる。
リフト料金
リフトは全部で三基を乗り継ぐ。
片道三基乗り継ぎで1500円
往復チケットなら2000円。
※2024年現在の価格
お得に購入するなら
前売券をあらかじめ購入するのも良い。
前売券ならアソビューサイトで購入できる。
往復チケット2000円→1800円 ※2024年現在
アクセス
車で
ナビに「網張温泉」(あみはり)
または「網張スキー場」と打ち込むのが早い。
公共交通機関で
路線バスなどがないが、
網張温泉宿泊者は盛岡駅から
宿泊者向けのバスを利用できる。
要予約で無料。約1時間ほどで
網張温泉に到着する。
盛岡発:9:30、11:30、14:45、16:45
詳しくは
コースタイム
【往路】
網張スキー場から三ツ石山まで=3時間20分(リフト込)
網張スキー場==リフトで約40分==第三リフト終点==1時間10分==大松倉山==1時間==三ツ石山荘==40分==三ツ石山
【復路】
三ツ石山から網張スキー場まで=3時間10分
三ツ石山==30分==三ツ石山荘==2時間==犬倉山分岐==10分==第三リフト==リフトで40分==網張スキー場
実際歩いてみたレポ
2024年8月18日、ガイドの下見で
このコースを歩いた。
もう20年も前の登山を始めた頃以来の
このコースである。
網張スキー場から大松倉山へ
網張スキー場の広い駐車場に
7時前に到着。
リフト券はリフト乗り場で購入できる。
今日はピストンの予定。
登りをリフトを使い、下りは
スキー場内の登山道がどんなものか
確認がてら歩こうかと考えたものの
片道リフト代1500円、
往復は2000円というリフト料金を見て
プラス500円でラクラク下山かーと
気持ちが揺らぎ、往復チケット購入。
リフトは3本を乗り継ぐ。
ガスで視界が悪かったものの
リフトで標高が上がっていくにつれ
ガスは晴れた。
リフト下にはヨツバヒヨドリの群落があって
早朝のせいか
たくさんのアサギマダラがふわふわと
飛び交っていて幻想的な景色を見ることができた。
第三リフトを降りると
整備の行き届いた登山道が始まる。
8月中旬のこの時期、登山道脇には
アオモリアザミやミヤマアキノキリンソウ。
山は秋が始まっている。
犬倉山分岐方面と網張温泉への分岐。
もし下山時、リフトを使わない場合は
ここで網張温泉方面への道を使うことになる。
第3リフト脇からもこの道に合流できる道がある。
途中、船の先端のような展望台がある。
ガスがなければここから
犬倉山と眼下には網張温泉の元湯が
見えるようだ。
シューシューと温泉が噴き出る音だけが
ガスの中から聞こえてくる。
なおこの元湯付近は犬倉山の噴火口跡がある。
展望地を過ぎて先をゆく。
登山道は岳樺のトンネルを抜ける。
分岐到着。ここで八幡平から
大松倉山の稜線が展望できる。
標柱に記されている「犬倉山」方面は
同時に岩手山方面である。
本日は、三ツ石山へ向かう登山者は稀で
ほとんどがこの先の黒倉山、または
岩手山へ向かうようだ。
他に登山者のいない静かな縦走路に入る。
ここから岳樺とモロビの森だ。
モロビの脇を通ればふわりと
お茶のような甘い良い香りがする。
そしてコケの森でもある。
緩やかな起伏を進めば
モロビ、つまりオオシラビソ越しに
大松倉山が見えてくる。
モロビの森が途切れると
視界が広くなって大松倉山の
壁のような稜線が見えてくる。
登山道は整備されているものの
左右からの灌木でだいぶ狭い。
洗車機に入った車状態で進む。
大松倉山到着。
ガスがなければここから
八幡平から三ツ石山へ続く南八幡平の
縦走コースがのびやかに見える。
大松倉山から三ツ石山へ
さて楽しい稜線歩き。
積雪期は大きな雪庇ができ
風が強い日は通過が厳しい場所。
白いハクサンフウロ。
色の濃い咲き立ての株もあった。
この山域はチシマフウロもあるようだ。
あいにく区別がつかず。。。
稜線歩き終点。
ここから大松倉山と三ツ石のコルへ
ぐんぐんと降っていく。
前方には三ツ石山がのびやかだ。
石や木の根でやや歩きにくい登山道を
ぐんぐんと下っていけば
ぽつんと三ツ石山荘も見えてくる。
下るにつれ樹高が高くなり
ふたたびモロビも現れて
ふわりとよい香りが漂う。
丸太の階段に石が埋め込まれた階段を過ぎ
やがて木道が出てくれば
松川温泉コースとの分岐。
山荘は三ツ石湿原の向こうに。
めずらしく誰もいない山荘。
中に入るとこんな素敵なステンドグラスが。
よく見ると三ツ石山の文字がデザインされている。
さて三ツ石山へ。
だいぶ老朽化が進んだ木道を抜けていく。
三ツ石山までは今日のコースで
一番の急登だ。
標高差180m程度、じっくり取り組もう。
山頂の北西方面に大きな岩がある。
いつもはお客さんに登ってもらって
わたしは撮影するだけだが
きょうは他の登山者もいないし
久々に登ってみる。
おお。
岩のてっぺんに立って眺める景色は格別だ。
源太ケ岳から大深岳、小畚から
三ツ石山に続く広大な稜線の景色の
気持ちのいいこと。
山頂は岩手山の展望スポットでもあるが
きょうはガスの中。
さて下山するか。
足元はリンドウがだいぶ咲き始めている。
ハクサンフウロと
その向こうに三ツ石山荘。
三ツ石山からの下山途中、
姥倉山が姿を現した。
三ツ石山からの急な登山道脇には
食べごろのアカモノ。
そして本日一番多いのが
アオモリアザミ。
カエルみたいな顔したシラネアオイ。
山荘の前の湿原まで降りてきた。
二週間ほど前は紫色のサワギキョウが
盛大に池の淵を埋めていた。
今日は、もう秋を迎えるだけの静かな水面に
夏の終わりの青空が深い。
小屋前のテラスでは
3人ほどの単独登山者が休憩中。
今日のような紅葉でも花のシーズンでもない
中途半端なシーズンは
こうしたソロ率が高いようだ。
小屋から3分ほどで水場がある。
枯れることが多いが
流れていればキンと冷たい水で
喉を潤すことができる。
本日はちょろちょろと水量があった。
この一週間後も訪れたのだが
そのときは水は出ておらず。
小屋前テラスで
凍らせて持ってきたコーヒー缶を開ける。
ちょうど溶けかかっていて
夏の登山に冷えたコーヒーが
喉に心地よい。
再び大松倉山へ登り返すとするか。
午後はガスがだいぶあがってきて
遠く茶臼岳も覗いている。
ノリウツギは花も終わって
これからピンク色にお色直し。
もう数日もすれば実の部分がルビー色になる。
大松倉の稜線から下山路を展望。
遠くの頂は姥倉山。岩手山はまだガスの中。
日が差してくるも
モロビの木陰に入れば
ひんやりと涼しく甘い香りとともに
癒される。
オオカメノキの実は赤くなり
再来週にはきっと葉っぱも色づくだろう。
往路で潜ったダケカンバのトンネル。
長く雪を被るせいか、横に伸びた幹には
厚くコケがついていて思わず触りたくなる。
犬倉山へ寄り道
まだ早い時間にもう
犬倉山分岐まで戻ってきた。
下山しても暑いだけなので
犬倉山へ寄ってみる。
1408mの頂まで分岐から
約70mほどの高低差だ。
やや急ではあるが寄り道には手頃。
犬倉山を示す標柱があるところは
ただの分岐であるが、
姥倉山方面と別に2本登山道がある。
南方面の道には犬倉山周回コース。
山頂へ向かうコースとつながっているようだ。
山頂へ向かう方の登山道を行くと
なんと岩手山がきれいに見えている。
さらに進むと展望台になっていて
ベンチなども設置されていた。
展望は抜群。
大松倉方面もよく見える。
雫石の町と
連なる山地は紫波三山。
きょうの山の天気はあまり
良い予報ではなかったが、意外にも
展望にめぐまれ満足だ。
そしてリフト下山、楽しい。
登りよりも下りのほうが景色もダイナミック。
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