山登りの本ではないのだが、推しとく。
ふしぎな県境

山を登るとちょくちょく出くわすのが県境だ。
たぶん、それは、
うわ!県境だ!と
万人が舞い上がる類のものではない。
県境に特別な想いを持つ者だけが、
その曇りなきまなこで見ることができる、
ある種特別なライン。

ふしぎな県境 – 歩ける、またげる、愉しめる (中公新書)

県境に魅せられた著者が
各地のレアな境界にひたすら萌える
そんな一冊だ。ある種、ブラタモリ系。

わたしが勝手にハイライトと想うのが、
飯豊連峰の盲腸県境のくだり。

山なんて一生登ることはないだろうと
考えていた著者が、このけったいな
県境見たさに、飯豊連峰に
死にそうになりながら登る。

文章が面白いので県境に興味なくても
楽しい一冊。
著者の県境へのアツい想いと
付き合わされる嫁の著しい温度差。

そのマニアと一般の温度差を
客観的に把握しつつ、県境に出会う喜びを
淡々と、しかし熱く綴っている。
この温度差がじわじわくる。

そしてブナ好きなら読んでほしいのが、
ブナの森を楽しむ
学術的な部分だけではなく
たえず、この著者の目線が
森林への愛でいっぱいだ。

読んでいると、著者が
目をきらきらさせて森を歩く様子が
まぶたに浮かぶ。

ときおり、ブナが擬人化する。
ブナの気分で推理するので
全体に、ほんわかした気分にさせてくれる一冊。

読みやすいので、
山歩きの知識を深めたい人に読んでほしい。

こちらのブナの絵本と合わせて
読んでみるとまた良さそう。

若干、お高いが
絵本とはいえ、ブナの歴史や
種類、各国の捉え方などなど
広くブナについて知ることができる。

銀嶺の人
久々に小説にのめり込みたくなって
選んだ上下巻。

新田次郎の作品は、孤高の人など
とにかくのめり込む。

猛吹雪のなかで山小屋で
出会った二人の女性が
クライマーとして鍛えられ
女性初のマッターホルン登頂を果たす。

ラストが美しすぎるし切ない。