初夏のヒバクラコースはこんな。

初夏のヒバクラコースはこんな。

2020年初夏の森吉山ヒバクラコースの楽しみ方

じっくりと深い森を感じて歩きたいヒバクラコース

森吉山は主峰である向岳、一の腰、カンバ森、
そしてヒバクラ岳の外輪山から成る火山。

花の名山として多くの登山者で賑わい、
特に最盛期には行列ができるほど。
ただしこうした喧騒も、ゴンドラ駅から石森、
稚児平を経て登る向岳までと、
チングルマの咲く山人平まで。

ヒバクラコースはそうした
渋滞とは無縁の、静かな森吉の
豊かな森の中をじっくりと歩くことができる。
この山域本来の、深い森や素晴らしさを
存分に味わいたいなら、
一度は歩いてみたいコースですわな。

初夏のヒバクラコース、ガイド資料に作ったリーフレットはこちらからダウンロードできますので、よろしかったらどうぞ。
A4横の裏表カラープリントで、縮小しない、短辺綴じを選択してコピーをしてください。三つ折りリーフレットにして携帯できます。

アプローチと登山口について

国道105号線と県道309号線の交差点付近に、
観光案内所四季美館がある。
そして国道を挟んで向かい側には
ファミリーマート。

ここを県道309号線で森吉山ダム方面へ。
晴れていれば真っ正面に
森吉山向岳が展望できるので
いやが応にも山欲が掻き立てられる。
ヒバクラ岳登山口へは
ここからクルマで約40分ほどだ。

お手洗いは登山口にもあるのだが、
森吉山ダムのを少し過ぎたところ、
森吉山大橋の手前左手に男女一基ずつ
水洗トイレがある。きれいなトイレだ。

小又川沿いの県道をさらに進み、
森吉山荘を過ぎるとヒバクラ岳、
野生鳥獣センターを示す看板があり
林道へ。

ヒバクラ岳登山口まで、
分岐ごとに看板があることにはあるのだが、
小さい小さい看板なので見落とさないように
注意しよう。ときどき
タケノコ採りの車や人の後ろになって
見落としがち。

そう。6月はタケノコ採りの車が多く、
ちょうど登山者が向かう時間帯に、
彼らの車が降りてくる時間でもあり
すれ違いに注意を。

舗装道路から砂利道に入ると、
凹凸がひどいのでスピードは控えよう。
フォレスターのデカイ車体でも
ハンドルがとられます。

ヒバクラコースを歩く楽しみどころ例

ブナの森

ヒバクラコースは標高810mからスタート。
ヒバクラ分岐が約1270mにあるので、
高低差にして460m。
ここまではアップダウンもなく
緩急ほどよい登りとなる。

分岐までの登山道で派手な景観はないが、
楽しみのひとつとしては
標高が上がるごとに変化していく
植生や季節感をじっくりと辿ること。
なかなか玄人好みというか
マニアックな楽しみではあるが。。。

登山道からしばらく、
両脇にはブナの二次林がたおやかに美しく広がる。
もともと、牧草地にするために
伐採が入ったなごりが、この二次林。
太さの揃った細い若木ばかりの林です。

二次林の森はすぐに終わって一旦、
林を抜けると牧草地造営の
伐採を免れた森になる。違いは、
幹の太いブナや、立ち枯れがちらほらと
目にとまるのですぐに分かる。

こうした朽ちかけた木があることで、
生き物にとっては豊かな生活の場となる。
立ち枯れには虫が入るので、キツツキなどの
良い食餌場となり、
あちこちに大小の丸い穴を見ることができる。

そしてクマのクライミング跡も
あちこちに見かけることができる。

登山口まのアプローチで使った県道は、
別名をクマゲラロードと呼ばれており、
そのクマゲラが生息できる森も、
こうしたブナの老木や枯れ木が混じる
ブナの極相林。

戦後、大規模なブナの伐採、皆伐によって
本州ではクマゲラが激減した。
クマゲラロードが走る森吉でも、
めったに見られなくなっているようだ。

クロベの巨木

標高が上がるにつれ、登山道両脇に
赤っぽい木肌の巨木が現れてくる。
クロベだ。別名をネズコ、とも。

この樹木は見ていて
飽きない佇まいのものが多く、
まずこの根元などはなんともユニーク。
こちらの大木、タコの足のような
その奥には古い株が枯れ果ててあった。

もともと急峻な痩せ尾根に
現れてくる樹なのだが、
このコース沿いの巨木のいくつかは、
平坦な場所に生えており
「いやそこに生えるのはブナとかだろ」と
思わずマニアックなツッコミのひとつも出てくる。

推測のひとつとしては、
この一帯はかつて火山活動が活発な場所で、
溶岩などで地形が頻繁に
変わったかもしれないということ。
もともとは急峻な地形だったところに、
溶岩が流れ込んだなどして平坦になり、
たまたま種が取り残された、とか。
いろいろ推測できますね。

キタゴヨウが来た!

クロベの巨木の中を通り、
やや急な斜面を登りきると
大きなキタゴヨウの樹が立つ展望地に出る。
ここからは立ケ森(りゅうがもり)が
よく見えるのでガイドマップなどには
立ケ森展望地などとも記載されている。

キタゴヨウは別名をヒメコマツとも
言うのだが、どこか毅然とした風情の
この樹にはヒメさまというより
キタゴヨウのほうがしっくりするような・・・。

ゴヨウは5枚の葉に由来する。
ふつう良く見かけるマツは
針状の葉が2つ付いているのだが、
こちらは5つもある。
ぜひ数えてみてください。

キタゴヨウは盆栽などでも人気の樹木。
盆栽の小宇宙を野に放てば、
ここまででかくなるわけか。
もはやビッグバン。

水場がちょうどいいポイントにあります

標高1100mを過ぎたころ、
水場の看板が出てくる。1分と書かれているが
30秒ほどで到達できる。
こんこんと湧く冷たい柔らかな水。
ぜひ立ち寄りましょう。

モロビの香りに癒されながら

モロビ、と言っても通じないときは
アオモリトドマツと言ってみましょう。
それでも通じないときはオオシラビソと
言ってみましょう。
やたらと名前がたくさんある木だ。
雪国に特化した、雪との共存を選んだ針葉樹。

森吉山の冬、
山頂付近にいらっしゃるモンスターの
中の人がこのお方。
積雪期などは雪の重みで枝が
ぐーーっとしなって折れそうですが、
大丈夫。とってもしなやかな枝で
雪の重みに耐え抜くように進化した。

モロビの森に入れば、ふわりと
独特の甘い香りが漂う。お茶のような香り。
これがフィトンチッド。
殺菌効果のある揮発性物質。
森林浴で癒し効果が期待されるのがこれ。

癒し、なんていうと素敵なのだが
フィトンチッドとは「植物が殺す」と
いう意味を持つそうでして、なんとも物騒。
けどご安心ください。
植物がこの香りで攻撃しているのは
微生物の類。モロビは樹木などが
傷ついたとき、微生物などから
傷口を守るために放出しているとのこと。

ですので安心して思い切り
深呼吸して森の空気に癒されましょう。

このコース一番かもな急登は階段で登る

湿原が広がる肩までの直下は、
このコース一番の急登に。
階段がつけられているので、ゆっくり
焦らず標高をあげていきましょう。
幸い、左右には笹薮が。
タケノコでも採取しながら登れば、
案外あっというまです。

階段は丸太でできている。
濡れていると滑りやすいので注意を。

急登の階段の途中で振り返ると、
小池ケ原方面の岩頭と、
ブナの樹海が眼下に広がって圧巻。
遠くには岩手山も特徴的な姿を見せている。

広がる樹海には、広葉樹林に混じって
黒々と針葉樹も点在する。天然杉で、
一角には桃洞・佐渡スギも見られます。

樹海はなだらかに広がっており、
ここは火山活動の際に溶岩が
流れ込んでできた地形だ。遠い昔は
この一帯が地獄のような様子だったなんて、
この緑の海からは想像できませんね。

湿原で一気に視界がひらけます。

お疲れ様でした。階段が終わると、
別天地のような草原が待っている。
ヒバクラ湿原だ。
早い季節にはショウジョウバカマ、
続いてヒナザクラ、イワカガミと
順番に見頃を迎えていく。

池塘にはカエルの卵が浮かび、
タイミング次第ではメスをめぐっての
カエルたちの恋の攻防に出くわすことも。

登山口から2時間30分ほどで分岐に出る。
真っ正面には森吉山向岳が
大きく迫る。向岳は別名を
鶴ケ岱とも呼ばれ、
その由来となる鶴の姿は
ここヒバクラ岳から見ることができる。

ちょうどこんな感じに翼を広げた姿ですね。

鶴の姿がみえましたでしょうか?

ヒバクラ岳から山人平へ

ヒバクラ岳から山人平までは1時間ほど。
いったん降ってから登り返す。
残雪があるときはルートがわかりにくく、
テープなども特につけられていないので、
準備をしっかりしていきましょう。

山人平からヒバクラ岳を振り返ると
こんな景色。黒々とした樹林は
モロビこと、オオシラビソの森。

山人平は花の最盛期には
チングルマの群落に埋め尽くされる。
そして晴れていると、木道は
人間の行列で埋め尽くされます・・・。

チングルマにイワカガミが混じると
一段と華やか。
多少の混雑でも見にいきたくなりますね。

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