2020年8月29日 笙ヶ岳へ垂直避難登山

2020年8月29日 笙ヶ岳へ垂直避難登山

笙ヶ岳ってこんな山

標高1635メートル。鳥海山の象潟口コース七合目の御浜から南西方面にある。鳥海山で、花を楽しみたければ御浜からこの笙ヶ岳の稜線上がお勧め。ニッコウキスゲの群落はもちろん、ハクサンフウロ、ハクサンイチゲ、シロバナトウチソウ、ミヤマリンドウなどなど、たくさんの種類の花が夏遅いシーズンまで咲き乱れている。

象潟コースを起点とすれば、全体になだらか。登山道はしっかりとしており初心者にもお勧めだ。下山時、吹浦コースへ間違えて降りないよう、要注意。

今回のコースタイム〜〜のんびりタイム休憩込み〜〜
8時40分 鉾立駐車場出発
9時15分 秋田と山形県境
10時15分 賽の河原
10時47分 御浜小屋
12時14分 笙ヶ岳山頂〜大休止〜
14時50分 駐車場 下山完了

酷暑の下界を逃れて山行記録

連日猛暑が続くので、これはもう
高いところへ垂直避難するしかない。
とはいえ、早朝から横手を出発して
鳥海山の山頂まで登る元気もない。

なので、鳥海山の笙ヶ岳へ。
ここならのんびり避暑ができるだろう。

9時から登りはじめればいいかと
8時30分ごろに鉾立に到着してみれば
どうやら暑さからの垂直避難を考えている人は
私だけではないようで、
「上」の駐車場はいっぱい。

登山者用の看板のある「下」の
駐車場へ車を停める。

いつもならば、五合目のこの登山口で
すでに涼しさを感じるところだが
どうしたことか本日は、あっつい!

とにかく標高を上げれば少しは
涼しくなるだろうと、出発する。
ところでクマの目撃があったとのこと。

どうりでクマ除け鈴を2個も下げて
登っている人がいるわけだ。
鈴の音が多すぎて、なんだか私としては
盛岡駅にでも降り立ったような
錯覚を覚えたくらいだ。
もっとも、あちらの風鈴は
南部鉄器の音いろではあるけれど。

先月は大雨になってしまったっけ。
おかげできれいな滝を見ることができた。
今日はいつも通りの晩夏の渓谷。

登山道わきはミヤマアキノキリンソウ。
気温は夏以外何モノでもないのだが
植物はぼちぼち秋モード。

それにしても暑い。
心が折れそうだ。

県境に。
途中で矢留山岳会の武藤っちと会う。
前泊して朝4時から登り始めて
下山してきたところだという。

暑さがマックスになる前に帰宅して
あとはのんびり過ごすのだそうだ。
単純に暑さから垂直避難してきた私より
だいぶ賢い戦略だ。

暑い。スポドリたくさんもってきて良かったが、
すでにもう下山したいくらい、暑い。
だが、下山しようかと思うとまた
知り合いと会う。

会っておしゃべりすると、なんだか
元気がでてきてまた登り始める。

トウチソウが本日は見頃だ。

秋の花といったらこちら。
エゾオヤマリンドウ。

秋の花に主役の座を譲って、
ニッコウキスゲはもう
今年の大仕事が完了した様子。

それでも山腹にはまだ一かたまり、
元気な黄色が咲いていた。
急げ急げ〜秋がくるぞ〜。

秋の花に励まされ
暑い暑い言いながらも賽の河原。
あんまり暑いので、すれ違う人への
今日の挨拶は「あっついですね〜」を
プラスせずにはいられない。

ここまで来てしまったら、
鳥海湖に挨拶しないことには
なんだか締まりが悪いので
汗を拭きふき登っていく。

だいたい鳥海湖で気温が変わる。
七合目まで登れば、涼しくもなるかもしれない。

なんの綿毛かと思ったら
チングルマ。
こんな金平糖サイズの綿毛だったっけ?
かわいすぎ。

御浜小屋到着!

御浜小屋からの草原と
稲倉岳の牛のような姿。

御浜小屋内部。
インスタントコーヒー300円。
自家製味噌汁も300円。
うっわ味噌汁うまそう!

ちなみに、休憩は200円。
素泊まり1000円。

長らく汲み取りできずに
使用できなかったトイレも使用可に。
女子トイレは洋式3つに和式1つ。

本日は鳥海湖、ガスに隠れ気味。
運良く姿を現したところを
急いでシャッターを切る。

一息入れたら、さて
笙ヶ岳へ向かう。
新山方面とは逆方向だ。

初夏にはニッコウキスゲの
大群落が稜線を黄色く染める。
鳥海湖の外輪の稜線をのんびり歩き、
岩峰、三峰、二峰、笙ヶ岳と、
小さなピークを越えていく。

あちらは鍋森。
溶岩ドームでできている。

オクキタアザミも見頃だ。
アザミと名乗りながらもアザミではない。
トウヒレンの仲間。

岩峰、三峰、二峰と展望したいが
あいにくのガス。

きょう出会った素敵な配色。
紫とピンクってなかなかいいのね。

分岐。

アップダウンがあるのだが
3つのピークはどれもなだらか。
景色もいいので、さほど苦ではない。

ミヤマリンドウとシロバナトウチソウ、
シラネニンジンのチングルマ綿毛添え。

途中の稜線の草原に
可愛らしい池塘もある。
そういえば、木道もなしにこんな
草原を歩くことができるって
ちょっとうれしい。

あのあたりが山頂だろうかと
もはや地形図も確認しないで
のんびりモード。
ようやく涼しさも感じられて
いっそ夏が終わるまでここにいたい。

さて、ここでぜひ見ておきたいのが
これこれ!
地表から10センチほどのところに
白いラインがある。

この1センチほどの幅の白いライン、
平安時代の始めのころ爆発した、
十和田カルデラから降った火山灰だ。

直線距離にして約165キロ。
こんなくっきり残るほどに
降り積もった火山灰を指で撫でて、
しばし萌える。

さてそろそろ山頂か。
のんびりとあまりに理想的な
稜線歩きなので、もう1ピークぐらい
アップダウンあってもいいぞ。

途中に小さな池塘。
こういうアクセントがあるのが
嬉しい。

気持ちのいい稜線すぎて
つい山頂分岐を見落として
長坂根コースを下りてしまうところだった。
この標柱があれば
笙ヶ岳山頂分岐だ。

はい、山頂〜。ウィズ三角点。

なんと、まだハクサンイチゲが
咲きたてのピッカピカ。

かと思えば、すぐそばでは
もうタネになっているハクサンイチゲも。

「本を読みましたよ」と声かけいただき、
山頂でコーヒーをご馳走になる。

ちょうどその人が飲んでいるコーヒーが
やたら美味しそうで、たまらず飲みたくなり
インスタントを取り出したところ
レギュラーコーヒーを淹れていただいた。

汗をかいたあとの山頂のコーヒーは
染み渡るおいしさでもう格別。
ごちそうさまです!

このあたりはよく登っているとのことで
面白そうなコースを教えてもらう。
新山山頂だけが鳥海山じゃない。

涼しいを通り越して
寒くなってきたので下山に。

下山はガイドマップではコースが
書かれていないが、御浜まで登り返さずに
賽の河原にショートカットできる。
そちらへ向かう。

上の写真は笹に覆われた山腹。
ハイマツもまとまって生育している。
たまたま、この山腹は風雪が
比較的弱いとか、他の高山植物の山腹とは
異なる要素があるのだろうか?

この木道を素直に辿っていけば
うっかりしていると吹浦口に
下りてしまう。分岐の見落としにご注意を。

イワショウブ。

今日の主役はトウチソウかも。
こちらピンクが可愛らしい。

賽の河原方面への分岐。
鳥海湖の矢印のほうへいけば、
登り返してしまうので注意を。

賽の河原方面は
道があるようなないような
微妙なルートで不安になる。

ガスで視界の悪い時は要注意。
特に目印もなく、なんとなく
踏み跡をたどっていく。

賽の河原に合流。

登山口付近には
ミズキの実がたわわ。

暑かったけれど
のんびりと山を楽しむことができ
よい山日和だった。

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