2021年6月下旬の乳頭山黒湯温泉から

2021年6月下旬の乳頭山黒湯温泉から

乳頭山は十和田八幡平国立公園の南部、
秋田県と岩手県の県境に位置する。
標高1478m。
山頂部分の東南側はかっこいい絶壁で
柱状節理が見られる。

山頂に至るコースは
秋田県側からは乳頭温泉を起点に
・孫六コース
・黒湯コース
・蟹場コース
などがありその気になれば
・鶴の湯からも行ける。

6月なかばにも乳頭山に登ったが
このときのコースは
秋田駒八合目小屋を起点に
笹森山、湯森山、笊森山を縦走する
長大なコースだった。

今回は黒湯温泉からのコース、
別名を一本松コースを登り、
孫六コースを下山してみた。

ログはこちらYAMAPでどうぞ。

コースタイムは参考までに・・・
08:20 黒湯温泉
08:53 一本松温泉あと
10:04 稜線展望のベンチ
10:46 孫六コース合流
10:56 乳頭山山頂
11:42 田代平避難小屋
13:18 孫六温泉

起点の黒湯温泉。
駐車場に温泉利用以外はお断りの
文字がある。
交渉するために温泉まで下っていって
断られたら登り返しが面倒なので
乳頭温泉入り口の駐車場に車を止めて
ここまで歩いてやってきた。おかげで
15分ほどブナ林散策ができた。

黒湯温泉の脇の道を下り
孫六温泉との分岐に出る。
このまま一本松沢沿いを行くのが黒湯コース。
別名を一本松コースだ。

おお、スリリングな橋がある。

途中、対岸に温泉の湯けむりを
眺めたりしながら、ゆるやかに
登山道が続く。

登山道は意外にも、といえば失礼だが
木道が敷かれて整備されている。
勝手にマイナーなイメージを
このコースに対して抱いていた。

渡渉点。コースは
岩にプレートで矢印が打ち込まれ
迷うことはなさそう。
雨の日はこのコースは
注意が必要かも。

このコース、露天風呂があるときき
それを見るのが楽しみだ。
もともとは一本松温泉の施設があったようだ。

いまはこんなかわいい看板があって、

露天風呂は登山道脇のすぐそばに
思いの外、立派なものだった。
指先を入れたが、かなり熱い。

温泉を過ぎると登山道は徐々に
沢を離れて山腹を詰めていく。

ところどころ、笹をかきわける。

あれ、沢に迷い込んだ?
と思ったが、ここが登山道。

ときどき木道が現れる。
木道がないと、地面の土は
かなり滑りやすそう。

木道で滑るか土で滑るか、悩ましい。

林床にはブナの実生から
葉っぱが成長していた。
たくさんあったが、数年後、10年後
生き残っているのはどのくらいあるか
ないか。おびただしい実生は
ブナの親木の遺伝子の生き残りへの保険。

地形図では渡渉はないが
沢地形の横断が1070m付近にあって
一箇所、渡渉。

沢地形の渡渉横断ののち、
等高線が混み始めて急登に。
急登箇所は丸太の階段が組まれていた。

それにしても一帯は
太い立派な笹が茂っていて
ちょっと覗けば食べごろが
目に付く。これに付き合ってたら
先に進めなくなりそう。
目を合わせないでと言いながら
いくらかお土産に。

これだけ笹があれば例の親方も
そこらにいるかなと気配を伺うが
黒い落し物ひとつなく。
平日の単独なので念の為
鈴は鳴らすが、今日はやたら
暑い日で、クマも動きたくないのかもしれない。

1200mぐらいになるとモロビ、
つまりはアオモリトドマツ、あるいは
オオシラビソが出てくる。
孫六コースなどと同じくらいの
標高で森は、ブナにモロビが混じり
やがてハイマツなども出てきて
視界がひらけていくパターン。

林床にイワカガミか
コイワカガミか。
ややこしいなあ。

うっそうとした森を抜け、
笹藪の向こうに秋田駒が
見えてきた。
あまりに暑くてもう帰って
アイスでも食べようかという
考えはここまでくれば
もはや霧散する。

登山道は、孫六同様にところどころが
このような感じ。
足元が見えないが、道は明瞭だ。

だいぶ上がってきた。
数週間前はあちら秋駒の
八合目から乳頭山を
目指してがっつり歩いた。

季節は早いもので、
ヨツバシオガマが咲き始めている。

展望地。
一息いれるにちょうどいい。

乳頭山の乳房部分が見えてきた。
花は、タニウツギが咲いていて、
ホバリングしながらそのタニウツギの
花の蜜を吸っているのは、
よくハチドリと間違える人もいるが
蛾だった。
わたしは蛾が苦手でして、
迂回するにも痩せ尾根でどうにもできず
しばらく蛾の食事待ち。

それにしても殆どの蛾は
口が退化してないのだが
このハチドリもどきは
長いストローのようなもので
長いこと蜜を吸っていた。

尾根にでると
花の乏しいこのコースでも
ちらほらとかわいいのが出てくる。
これはアカモノ。

北側、モロビのなかにポツンと一軒家は
田代平避難小屋。

オノエランも咲き始めている。
漢字では尾上欄。

乳房に引き続き
乳頭も見えてきた。

ムシトリスミレが花盛りで、
これほどの群落のタイミングに
遭遇したのは初めてだ。

今年はコバイケイソウと
よく出会う。
秋田駒で見るとあれは
ニョロニョロなのだと説明したくなるヤツ。

イワカガミもフリフリ。

森林限界を越えると
一気に夏めく。
平日で人もまばら。贅沢。

いつもの分岐。

チングルマはもう綿毛だ。

累々と岩の道を行けば
山頂はすぐ。
今年、何度目だろう?

到着。
秋田最高峰の男女岳も
日本最深の田沢湖も一望できる。

岩手山はあいにく雲のなかだったが
三ツ石岳からモッコ、八幡平まで展望。

眼下の登山道は
先々週に辿った道だ。
あちらもヤブ気味。

山頂の柱状節理。

下山は孫六コースへ。
こちらから上がってきた登山者が
滑って大変だった〜と嘆いていた。
下山は使いたくないから黒湯コースは
どうだったと聞かれる。
孫六よりはマシだと答えた。

小屋で小休止。
とにかく暑い日で
塩分の効いた梅茶がうまかった。

目の前の湿原には
ミツガシワやイワイチョウが咲いていた。

木道沿いのモロビの下では
ズダヤクシュ。漢字では喘息薬種。
読んで字のごとく喘息の薬。

高層湿原に夏の空を見ながら。

ワタスゲも見られるとは
知らなかった。

チングルマもここでは見頃。

蟹場コースとの分岐。
積雪期は迷いやすい。

さて、滑りやすい登山道に
取り掛かろうか。
きょうはリバーシブルグリッパー、
使っちゃお。

滑りやすいのは稜線直下。
ブナ林にくればだいぶいい。
昼過ぎに下山。
帰りは駐車場まで、道路に並走するブナ林を
散策しながらぶらぶらと。

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