数年前、テンションが低いままだらだらと
丁岳から萱森、庄屋森、観音森と
ぐるっと縦走した。
当時、清々しい疲労感と
達成感を覚えつつも
このコース、
そのアップダウンのボディブローに
えらく辟易したはずだった。
しばらくは遠慮しとくわと
そっと誓ったはずだった。
だがどうだろう。
人というものは昔の心の誓いなど
すっかり忘れてしまう。
今回は矢留山岳会の会山行。
前回と逆回りで観音森、庄屋森、
ラスボスに丁岳というメニューで
このえぐいルートを楽しもうと
こんなにも多くの物好きたちが
集結したのだ。
2021年現在、登山口までの
アプローチも、取り付きも
伐採作業のため作業道が
縦横無尽に・・・。
アプローチで右往左往し
登り始めてからしばらくは
ピンクテープたよりに
ぐんぐん登る。
ようやく作業道から
本来の登山道に入る。
こんな感じのトラバースが続き
足場はいい方ではない。
ちょうど神室山の沢沿いコースの
巻道に似て、慣れていないと
ちょっと怖いかも。
季節外れも外れまくった、
孤高のイワウチワ。
もう今年は見納めたつもりだったが。
巻道から尾根に乗る。
しばらくなだらかな森のなか。
これは観音森の急登への
序奏というべきか
嵐の前の静けさというべきか。
急な山容は、標高の割に
見晴らしがいいのがご褒美。
観音森直下になると勾配は
手を使うレベルにきつくなる。
あんまり急すぎて
いくらなんでもな、と見渡せば
ルートを間違えていた。
2mほど横に少しだけマシな
登山道があった。
せっかく持ってきたのだからと
スヨさん、メット装着。
急登すぎて
先行く人のお尻しか見えない。
それにしても以前来た時、
こんなに急だったっけ?
以前はここを下りに使ったが
下りとなるとここ、
かなり下り難かっただろうに
まったく覚えていないのだった。
斜度が緩めば山頂も近い。
この付近、浮石も多いので
落石注意だ。
登山口から2時間ちょっとで観音森到着。
標高は1058m。
真昼岳より1m低いくらい。
なんかもう満足感があるが
縦走はまだ始まったばかりだ。
急勾配すぎるせいか
標高の割に展望がよい。
さて、次のピークへまずは下る。
ぐんぐん、下る。
実にもったいない。
観音森まで登ってしまえば、
アップダウンはあるものの、しばらく
なだらかな尾根歩き。
展望がいいのでしょっちゅう
止まる。
行く手、次のピークごしに
不穏なピークがチラ見えする。
信じられない気分だが
あの鋭鋒のピークを直登して
登山道がある。
あれこそが萱森だ。
庄屋森まで下る下る。
とにかく下る。
色づき始めた葉っぱが
美しい。
はい、矢留のお姉さんお兄さんも
美しい笑顔です。
みんなで登るとえぐい急登も
アップダウンもなんだか笑えてくる。
それにしてもこの傾斜。
笑うしかない。
あちらに見えるは甑山。
女甑と男甑が次の山行へと誘う。
観音森からアップダウンを繰り返し、
何度目かのコルから70mばかりを
登りきる。
11:19に庄屋森。標高1100m。
観音森から50分ぐらい。
山頂、狭いので
一列に並んで記念写真。
庄屋森の平坦な山頂を進むと
ラスボスの前衛をつとめるのが
萱森だ。
目の前に現れたその
とんがりっぷりに思わず
どよめきが走る。
おまけに
萱森に取り付くために
100mも下るのもまた
地味にメンタルをえぐるのだ。
下りきると、これだ。
壁?
いえ、登山道ですわ。
さあ、今日のとびきりスパイスの
効いた前菜ですわ。
振り返れば
あまりに急すぎて
みんなの頭しか見えない。
これが登山道ですわ。
楽しいでしょう。
写真で見ると
平和なんですがね。
みなさん、手、ついていたり
ヤブを掴んでるでしょう。
転がりそうに急なんですわ。
11:48、萱森登頂いえーい。
萱森登頂いえーいパート2。
萱森登頂いえーいパート3。
ラスボス丁。
後ろに鳥海山を従えている。
貫禄よ。
今日の縦走、あと丁一座なのだが
その間のアップダウンに加え、
このあたりはクマとの遭遇率も高い。
ラスボス感に不足なしだ。
腹減ったな、ということで
ここ萱森でランチに。
高級フルーツが振る舞われた。
希少スイーツも振る舞われた。
翁飴。本場もの。
亡くなったお茶の師匠が
好きだったなあと思い出す。
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