2015年7月11日 和賀岳へテント泊で

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先月に引き続き、和賀岳である。
今回のコースは岩手側のメインルート。
長らく敬遠していた、高下岳登山口からの
ロングコースを初めて辿った。
このコース、登りで
5時間というコースタイムもさることながら、
高下分岐を過ぎたあと、
約200mも下ってまた急登を登り返す。
これがツラそうだな、
ということでなかなか脚が向かなかった。
しかし先月。
和賀岳から見下ろしたコケ平の、
伸びやかな景観は魅力的だった。
そして、このコースを歩けば、
沢尻岳、モッコ、大荒沢、羽後朝日、高下岳、
和賀岳のほとんどの登山道のトレースが繋がるのだ。
さらにどうせなら、テン場もあることだし
沢清水で割ったウィスキーを
満天の星の下で楽しむことにしようか。
と、あれよあれよとモチベーションが高まった。
心が決まればきっと天気は晴れるはず。
先月のうちに
土曜のお茶の稽古は休み届けを済ませた。
=コースタイム※休憩込み===
08:20 登山口スタート
08:50 赤沢分岐
09:28 高下岳分岐
10:10 徒渉点~テント場に荷物デポ
10:36 テント場出発
12:27 コケ平
13:04 和賀岳山頂
14:08 コケ平から下山開始
14:42 テント場到着(ここで一泊)

8時過ぎ、登山口に到着。
100mほど奥に20台ほどの駐車場があるのだが、
登山者のクルマはすでに林道まで溢れていた。
仕方なく、
ひんしゅく者のそしりは覚悟で、看板前に駐車。

入山届けを見れば、
早い人で4時30分過ぎにはスタートしており、
ほとんどの登山者は
5時ぐらいからスタートした様子。
一泊山行の気楽さで、
私は8時20分にテントとビールを担いで出発。

しばらくは杉の造林地。10分ほど歩けば、
森は杉からブナに入れ替わり、
緩やかな登りは、急登となって
尾根を目指してぐんぐん標高を上げていく。
登山道脇には見事なノギラン。

夏の一泊テント装備と、容赦ない急登コースに
汗がとめどなく流れ落ちる。
しかし本日、からりと空気は軽く、そして
ブナの森を涼しい風が通るので、
思いのほか爽やかだ。

8時50分、赤沢分岐。
分岐とは名ばかりで、
赤沢沿いの登山道は廃道となっている。

本日一番の登りが終わり、高下岳分岐までの尾根を行く。
出だしこそ、
たいした重みじゃないと感じた一泊装備のザックは
徐々に重く感じられてきて堪える。

サンカヨウの実。

 

和賀山塊は、奥深い山のせいか
立派なブナがまさに林立する。
見事なブナに何度も足が止まる。

9時28分、高下分岐到着。
重い荷物を背負った登りもここまで。
あとは、テン場まで慎重に下れば
そこから先は荷物から解放される。
一息入れていると、
本日一番に入山した女性が下山してきた。
ちょっと裏山へ山菜採りに、
というような身軽な装備で
軽快に歩いて行く。
小柄な年配の女性で意外だった。

分岐から尾根を巻くようにして緩やかな道。

 

水場がある。ここから少し下ったところ。
渡渉の沢がもうすぐなので、寄らずに通過。

ブナにクロベが混じる。
先ほどの水場から15分ほどで
また別の水場がある。

徒渉点の和賀川源流の沢音が大きくなり、
登山道は沢をめがけて落ちるかのように、
一気に急になる。

10時9分、徒渉点の和賀川源流。
渡るには問題のない水量。
大荷物にバランスがうまく取れないのと、
飛び石がぬめるので登山靴を脱ぐ。
早く渡ろうと焦りながら、
ようやく対岸に着いて靴を履いたところで
渡ってきた向こうに
手袋が取り残されていることに気づいた。結局
この沢を二度渡るはめになった。
いかなるときも、
自分のペースを乱さないことだと反省。

沢から上がってすぐに、テント場がある。
ここで一泊装備を入れた大ザックをデボ。
サブザックに雨具や行動食、
飲み物など最小限の荷物を入れて10時36分、
コケ平を目指して
標高差600m以上の登りに取りかかる。

登山道には岩が露出する。
そしてひたすら急だ。コケ平から落ちる尾根を、
忠実にまっすぐに、ただただ登らされる。

12時10分、
そろそろ樹木が低くなるころ、
登山道の大きくえぐれたポイントを通過。

12時17分。ハイマツを抜けるとコケ平到着。
お昼もすぎて、疲労が濃くなってきていたが、
開けた展望と
和賀岳の姿を見た瞬間、
重くのしかかっていた疲れが吹っ飛んだ。

振り返ると彼方に真昼岳と女神山。

 

コケ平からは、
ここまでのキツい登りと打って変わって
なだらかな天空散歩がはじまる。

ミネウスユキソウが群落となって咲き揃う。

 

ハクサンフウロ、トウゲフキも最盛だ。

 

やや強い風が、汗を乾かしてくれる。

 

ヘリの音がした。
見ると甘露水コースからの登山道がある
小鷲倉付近に遭難者がいるようだ。
風があって大丈夫だろうかと思っていたが、
やがて旋回からホバリング体勢に入ると、
レスキューが一人ロープで下りてきた。
再びヘリは旋回をはじめ、のち、
遭難者が吊り上げられ、また少しして
レスキューを吊り上げて収容し、秋田県側へ戻って行った。
あとで知ったが、
熱中症の症状で男性が倒れていたらしい。
さらに後で知ったが、
私の部下の弟さんの友人がその場にいて
心臓マッサージなど40分以上も尽力していたようだ。

薬師岳から小杉、小鷲倉の稜線と
沢に深く落ち込む荒々しい地形は、迫力だ。
本日は男性的なその景観に、
ニッコウキスゲが華を添える。

12時53分、和賀岳まであと一息。
時間がかかったのは、
ヘリを見ていただけではなく
両脚の太ももが痙攣を起こし、
動けなくなってしまったため。
今日の発汗に、
水分とミネラル補給が追いつかなかったようだ。
だましだまし歩いていたが、
ついに身動きすらできなくなり
難儀して座り込んでエアーサロンパスを吹き付け、
水分と梅干しのおにぎりを補給し、
しばし休んで回復を待っていたのだ。

飲むものを飲み、
食べるものを食べると両脚はけろりと回復し
和賀岳山頂はすぐそこだ。
山頂付近は、ニッコウキスゲ密度がひときわ濃い。

13時4分、和賀岳山頂。
今日は風が強く、さっきまでの汗はどこへやら、寒いくらいだ。
先月はのんびりと昼寝などして1時間も滞在したが、
本日は長居はできそうにない。

先月来たときよりも空気が澄んでいて、
田沢湖、森吉山、
岩手の代表的な山々がくっきりと遠望できる。

大事に温度管理しながら担ぎ上げたビールで、
ひとまず乾杯!
水分に渇望した細胞に、
冷えたビールが爽快に染み渡る。最高にうまい。

コケ平を山頂から見下ろす。
あの急な登り下りも、この伸びやかな景色のため。
コケ平で風を除けて小休止してから、
テン場目指して下山開始。

登りよりも下りでその急傾斜が実感できる。
写真ではよく分からないけれど。

14時42分、テン場到着。
すぐにビールを取り出したいところだが
まずはテント設営と、水汲み。
本日はテントサイトは混み合うかと覚悟をしていたが
もう一組、50代の兄弟が
大きめのテントを設営したのみ。
団体がおらず、
釣客でもない登山者だけなので正直ほっとした。
静かな夜を過ごすことができそうだ。

ビールはお気に入りのエビスシルク。
ウィスキーは白州。
4時ぐらいからのんびりと、
飲んでは食べ、食べては料理を作り、
やがて日が暮れ、星が瞬き始める。
はく息が白くなり、
上着を羽織りながらウィスキーを楽しむ。
思った程、虫はおらず快適だ。
ヘッデンを点けて沢へ行くと、空が開ける。
灯りを消せば、漆黒の闇に星の海。
あまりに星が多すぎて
星座の形が掴めないほどだ。
ようやく夏の大三角形を割り出したが、
それ以上は辿れない。
人が割り振った枠組みなんぞこの原始の森の中では
無意味のように、星が溢れる夜である。
翌日へ続く。

 

 

 

 

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