
神室山の山頂を少し下りたところに、
麓の集落の人たちによって
鏑山大神が祀られている。
神室山の名はこの鏑(かぶら)に
由来するのだろうかと
何かと創造力を膨らませながら
地形図を眺めていたら、その東南に
大鏑山、小鏑山が連なって目に止まった。
鏑、大鏑山、小鏑山と、勝手に鏑三山と命名し
何だか登ってみたくなったのが、
今回の山行の発端だ。
ちょうど大鏑山の北には、以前から
登りたかった軍沢岳(いくさざわだけ)もある。
そして、その大鏑山と
軍沢岳の縦走路の途中には
秋田、山形、宮城の3県の県境がある。
また宮城県でも屈指と思われるブナ林が
広がる鉄砲平が標高900mに
のっぺりと広がっているのも魅力的だ。
そして何よりも、登山道がない!
雪がある今だけ、という限定感も心くすぐる。
さて、攻略の作戦タイム。
鬼首トンネルを秋田県側から宮城に抜け、
夫婦橋を渡ってすぐの
駐車場をスタート地点とする。
大鏑山への最短ルートはあいにく
軍沢川に阻まれるため、この沢を
ぐるっと迂回する遠回りルートを
選ぶほかなさそうだ。
夫婦橋からトンネル上の尾根を、
秋田宮城の県境目指して登り、
その後、この県境尾根を拾って鉄砲平に至る。
この時点で11時前ならば、大鏑山へアタックし
11時を過ぎていたならばタイムオーバーとし、
大鏑山はパス。
秋田宮城山形の三県境直下で一泊。
翌日、軍沢岳を踏んで秋田県側のカモシカ橋に下山。
車は1台をカモシカ橋そばの駐車場にデポしておく。
そんなルートとした。

先週、偵察にきたときは雪の少なさに、
決行するかどうか迷った。
800mぐらいまで上がれば、
何とか雪がありそうだったので
取り付きで少し薮こぎすれば何とか行けそうだ。
しかし、出発時は雨。
テント泊装備で雨の薮こぎという、
レア体験をすることとなった。
写真は、鬼首トンネルを抜けてすぐの
夫婦橋を渡った駐車場から
取り付きのトンネルを見る。

8時20分出発。雨が収まるのを期待して
ぐずぐずしていたので
予定より20分遅れてのスタート。
最初はこのトンネルの右側の尾根を
ルートに考えたが、どちらを行っても
薮こぎなので、トンネル左側からダイレクトに
尾根に上がる最短ルートとした。
途中、ばっけも忘れずにゲット。
なんと、タケノコも顔を出していた。

8時28分。トンネルの上。

今年初の薮こぎ。
雨ではあるが空は明るい。
天気は徐々に良くなる予報だ。

20分も進むと尾根の東側に雪が出てきて、
視界が開けた。
遠くに見える特徴的な三角山の連なりは
片倉森1040m。

雨にうたれながらもマンサクが、グレーの空に
黄色いアクセントを添えている。

ここまで来る頃には、青空がのぞき雨が
だいぶ弱まってきた。
雪はほどよく締まって歩きやすい。

痩せ尾根にさしかかると、
雪庇跡のスノーロードが敷かれていた。ラッキー。
ここを登れば、林道とクロスする。

9時50分、林道とクロス。
ここで小休止。
ショウジョウバカマが林道脇に咲いたばかりだ。

林道のすぐ北にはピーク864があるが、
ここは巻いていく。
雪で埋もれた林道を使って、
P864のコル直下まで。
林道は快適かと思いきや、ほとんど
急斜面のトラバースで気は抜けない。
このまま林道を辿っても、
目指す鉄砲平に至るのだが、
遠回りになるので、尾根に上がるため
コルを目指してキックステップで高度を上げる。
林道脇にはクマの大きな足跡や、
カモシカの新しいトレースがあった。

尾根にあがれば再び、秋田県と宮城県の県境。
秋田と宮城を行きつ戻りつ、雪道を行く。
雨はすっかり止んで、ときおり日が射す。

二本のブナが同じような格好で並んでいた。
その奥は県境がある名もないピーク。
あれは巻いていく。

このまま進めば
先程のピークを越えなくてはならないので、
30mほど登ったら、北側へ回り込む。
巻いていくピークの北東には崖マークがあるので、
これが見えてきたら
また尾根を目指して高度を上げて、県境に戻る。

その県境の尾根に上がる途中、小さな沢があり
ここは慎重に横切る。

尾根に上がり、P954を越えて行く。

北側を見れば、軍沢岳の裾野が見えた。
かなり急。あの奥の尾根を下山に使うのだが
なかなか大変そうだ。

11時20分。鉄砲平のブナ林に出迎えられた。
鉄砲平のP919と沢を挟んで東側の平な場所に到着。
雨と薮こぎで疲れもあり、大鏑山へ連なる
小ピークを縦走していくモチベーションはなかった。
すっきりしない天気も、気がかりでもあったので、
本日の大鏑山アタックは、次回への課題とした。

写真は鉄砲平のピーク919がある方面。
途中に雪に埋まった沢がある。
大鏑山アタックであれば、
そちらにテントを設営しようかと考えていたが
今日は次の目的の三県境がある尾根の直下に
宿を取ることにした。

鉄砲平の向こうに、
大鏑山へと連なる縦走路が白く見える。

鉄砲平の北東にある、宮城と秋田の
県境尾根の裾を巻きながらゆるやかに登る。
三県境を踏む為には、行く手に見える尾根に
上がらなくてはならない。
ルートはいくつか考えられる。
鉄砲平のP919の西から伸びる尾根、
つまりこの写真の尾根の先端から
上がってしまうルート。
もうひとつは、宮城秋田の県境の尾根を
上り詰めるルート。
本日は、テントサイトの場所も考えて
後者の県境ルートを取ることにした。

あとは問題は、三県境がある尾根に上がるため
雪庇をどうかわしていけるのか、だ。
見上げると、
尾根にはかなり大きな雪庇の崩壊跡が
延々と伸びている。
樹々の隙間から見る限り、
なかなかその雪の壁が途切れているポイントが
見当たらず、唯一、P1100のコル付近が
突破出来そうな様子。
予定しているテントサイトからは、
かなり引き返さなくてはならないのが
ちょっと面倒。

宮城秋田の県境。だだっ広い。

東に虎毛山が大きい。
その山頂にはぽつんと避難小屋が突き出ている。

13時20分。テントサイト到着。
ケータイの電波が三本立っていたので
写メを撮って橋T会長へメールする。
会長は北アルプスからの帰路だった。
ありがたいことに、昨日の降ったばかりの
きれいな雪があって飲料水には困らなそうだ。
この日、T隊長がツェルトを広げたのだが
何と、この2年ほど
なくしたと思っていたお気に入りの
ネックウォーマーがぽろりと出てきて
思わぬ再会を果たすことができた。





うぉ!なんか修行系♪
有雪期限定の山ぁ~!!いいなぁ~
asahiさん、今だけ登れる山って魅力ですよね。
ルートファインディングも楽しいし。