登山ガイドの認定後、一年目って仕事はどうよ?の件。
さくっと収支について
前回、日本山岳ガイド協会の認定ガイドになるための費用について、ざっくりと記事にまとめてみた。・・要約すれば、試験そのものの直接的には24万円ぐらいだが、地方在住者ゆえの交通費宿泊費やら、ガイドに必要な装備や知識習得の費用などなど、およびガイド協会入会にかかる費用なども含めたら、ざっくり40万円かかった、という話。
そんだけ費用かけて、回収できるの?
結論から言えば、わたしの場合は一年目のガイド料でほぼ回収できた。ただし、税務署に申告した帳簿で検証すれば、開業してからも装備を買い足したり資料集めたりで何かと出費が続いたので、厳密には損益分岐点はまだちょっと達していないかな。
おそらく専業にすればもう少しガイド収入は増えるかもしれないが、わたしは会社勤めのかたわらの週末限定ガイド。その制約もあるので、開業一年目の収支はトントンといったところだ。
ガイドの仕事はどうやって見つけるの?
拠点がどこか、所属するガイド団体の集客力、企画力、機動力はどうかなどなど環境によりけりな部分もあり一概には言えないが、わたしの場合は、ということでまとめると・・・
所属するガイド協会の先輩ガイドから、旅行会社の登山ツアーでの登山ガイドの仕事を回してもらえた。そのガイド業を回してくれた先輩ガイドが、旅行会社からのオファーはどうやってもらえるのか、についてはこれは営業活動のたまもの。
自ら旅行会社へ足を運び企画を持ち込み、築いた関係性と実績。そして当然といえば当然の、マナーというか暗黙の了解となるが、ガイド仲間の既存クライアントへの積極的な営業は控えたほうが良い。
旅行会社のツアーのお客さんのなかには、お気に入りのガイドさんがいれば名刺を欲しがる方もいる。ガイドとしては固定客ゲットのチャンスではあるが、マナーとしてはここで売り込みは控える。というワケは、これをやっちゃうと信頼して指名してくれた旅行会社のお客さんを横取りするようなカタチになる。長い目でみれば信用を失うし、「あのガイドは他人の客を横取りする」などと印象の悪い評価が業界内に広がることになる。いっときの利益のために将来の信用を失うようなことはしたくないもの。
個人でやってる集客活動は?
つくづく思うのは、日本百名山が近場にあればいいなあということ。ネームバリューのある山域は集客力が高い。全国からお客さんがいらっしゃる。
だが、わたしの地元の秋田には実はこの日本百名山がないのだ。
しかしながら、花や紅葉で人気の山域はそこそこあり、森吉山、秋田駒ケ岳などはシーズン中は雨の日だろうがお客さんが絶えない。
なので、花や紅葉シーズンは旅行会社企画の登山ガイドでほぼほぼスケジュールが埋まることとなるのだが、それ以外のシーズンはパタリとツアーが途絶えてしまう。これが、登山ガイド専業への道を厳しくする。副業とはいえ、できれば毎月コンスタントに売上が欲しいところだ。
そこでコンスタントな活動をするために必要になるのが、個人的に登山ガイドを企画して集客すること。
特にわたしのように、人付き合いがあまりうまくない人間などは、なおさら個人企画をしないことにはなかなか仕事が回ってこなかったりする。。。
集客のためにはまず必要なのが「告知」。
そして告知のために必要なのが「媒体」だ。
昨今は、個人の情報発信のハードルはかなり低くなっている。
各種SNSは当然、利用しないテはない。
また、ウエブサイトについてもワードプレスでプロデザイナーばりのステキなサイトを作ることができる。しみじみいい時代だ・・・。
かくゆうわたしは、もう十数年前からウエブサイトを持っているのでこれをプラットフォームとしてブログとフェイスブック、ときどきツィッターをミックスさせて宣伝に利用している。
そして、紙媒体も併用している。ペラもの、と言われるチラシを作って道の駅や、お店、その他施設などに置かせてもらっている。
だいたい500枚から800枚くらい印刷でカラー印刷で三千円くらいかな。
なんと送料も込み込み。最近は格安プリントサービスがあるので気軽に印刷できてとってもよろしい。ちなみに印刷サービスはプリントパックを使っています。
他にはモノクロ印刷なら、横手市のワイワイプラザで輪転機を使えば、製版100円、印刷1枚一円。ちなみに、ここの輪転機、使う人が少ないのか印刷がかすれてしまうことがある。
そんなときは、必ず「アイドリング」を選択して製版するのをお勧めします。
集客については、企画する山域にかなり左右される。どんな山域、どんな企画内容、どんなターゲットにニーズがあるのか、今現在、データ集積中です。だいたいニーズの傾向がつかめてきましたがこれは企業秘密ってことで・・・。
そして、もうひとつ大事だと思うのが、いくら宣伝しましても、お客さんの立場に立って考えてみれば、どこの誰だかわからないガイドさんと、山行当日に初顔合わせ、って状況って結構、ハードルが高いんじゃないかなと思う。
なので、わたしはなるべくブログで普段の山登り記録記事を発信しているし、ガンガン顔出しもしております。登山ガイドはとにかくお客さんにあらゆるシーンで「安心」していただかないと「信用」に繋がらない仕事。それは山中のことに限らずに、「申し込みたいんだけど、ガイドさん、どんな人なんだろう」という類の「不安」についても同じかなと、思っております。
なのでとにかく自分を露出させるしかない。人はより多く接したものに対して警戒心が弱まるもの。(・・・て、わたし本業はマーケティングの仕事なので)ということで、地元ラジオ番組などにもダメ元で飛び込みメールで連絡とりましたら、出演させていただくことができまして、小さなことですが「どんな人となり」をラジオでも知っていただく機会を作ったりしてみました。
集客で一番効果があったのは、たまたまお声がけいただいた登山塾の講師の仕事。人前で喋るのが苦じゃない方には、登山机上教室を安く開催することをお勧めします!そうすれば、ほんの1時間か2時間ほどの時間で、お客さんもハードル低く登山ガイドの「人となり」を見ることができますし。
個人的に登山机上教室を開催もしております。集客はさすがに、数人程度ではありますが、教室講師という実績はできますし、宣伝にもなりますし、自身の勉強にも役立ちます。
会場については、公共の施設の研修室が借りられます。夜遅くまで借りられるので、平日の夜でも開催できるのがいいです。週末は山に行きたいですしね。
個人企画ガイドのパートナーについて
そしてもうひとつ大事だなと思うのが、登山ガイドの実働経験が少ないガイドが、ひとりでガイドできるかどうか。
ここは冷静に自分の能力と実力を見極めたい大事なポイント。
登山ガイドの役割の一番重要な要素は安全管理。果たして今の自分の実力で、お客さんを安全にエスコートできるのか。
旅行会社の登山ガイドですと、添乗員さんが一緒に登るので途中でリタイアしたいお客さんや、体調の悪くなったお客さんを添乗員さんがだいたいは面倒を見てくれるし、一緒に下山もしてくれる。ガイドとしては、登っていただくことに専念できる。
しかし個人企画の場合には、添乗員さんがいないのは当然。
お客さんに具合の悪い人がいれば、場合によっては他のお客さんも一緒に途中でも下山していただくこととなる。そうならないよう、健康確認や途中の安全管理にはとっても気を遣うのだが、絶対大丈夫という保証はない。
できれば、サブガイドが欲しいと思う。
ベテランになれば、おそらく常連のお客さんも多くなるので力量も把握できているのだろうけれど、まだまだ駆け出しガイドではそうはいかない。
わたしはほとんどのガイド企画にはサブガイドをお願いしている。ガイド料は折半になるのだが、サブガイドがいる安心感には代えられない。
そしてできればこのサブガイド、自分よりも経験のある人や、自分には不足している技量や知識をもった人であるとなお、良い。
そうそう都合よく、ガイド料折半でサブガイドを引き受けてくれる人も少ないかもしれないけれど、ここはできれば全力で探す価値はあるかと思う。
まとめ
ということで、登山ガイド認定とってからの仕事の具合はどうよ?についてはぼちぼちでんな。ってところでしょうか。
ガイド認定取っても、全く仕事がなくって認定の更新をしないという方もいらっしゃるようです。確かに、ガイド協会の年会費もそれなりの金額がかかるので、仕事がないと思いっきり赤字となりますしね。
仕事をどう取ってくるかについては、
①ガイド仲間のネットワークを駆使して仕事を回してもらう方法と、
②自ら企画して募集する方法のふたつを、
ガイド2年目のわたしはやっております。
一年目で、認定取得にかかった費用分は売上がありましたが、装備を買い足したり更新したりで利益はトントン。
副業なので月間コンスタントに売上8万あればいいかなというスタンスで、企画作成し募集しております。
順調に集客できても、お天気でポシャったりとなかなか思うようには売上にならず、なにか天気に左右されないガイド関連の仕事を作れないものかと画策中です。それさえクリアできれば、独立もぐっと現実味を帯びてきますし。・・って副業のさらに副業って。。。
副業なんだから、声がかかったらガイドすればいい、ってスタンスも確かにある。けれども、受け身ってヤなんですわ。
会社勤めで嫌気がさすのって、結局はヒトの経営するハコに所属する以上はそのハコ全体の最適化を為す駒に徹する必要がある。自己実現、なんて甘い言葉を企業は誘蛾灯のごとく掲げておりますが、あんなの幻影です。組織のなかでめいめいが自己主張はじめたら、組織体としての運営が機能しなくなる。誘蛾灯を掲げるのは、人事部の場当たり的な保身でしかない。
ガチで自己実現をしたければ、組織を出るしかない、とわたしは考える。なのに組織は人を集めたいがために、そんな場当たり的で矛盾したキャッチコピーを掲げているわけだ。
本当にやりたいことがあったら、自ら動く。これしかない。自ら動けないけれど何かやりたい人はごまんといらっしゃる。だから、「自ら動く人」が協力者を募れば、この「自ら動くのはためらわれるが何かやりたい人たち」が集まってくれたりする。
何が言いたいかって。
大抵のことはなんとかなるさ。ってとこでしょうかね。
てなことで!ぐっらっ!
コメントを書く